出版社内容情報
見田宗介が見つめた人間と社会の可能性とは
さまざまな問題や課題をかかえる現代,社会のあり方を見直し,グランドデザインをえがいて変革の方向性を示す力業が社会学には期待されている。「社会構想の社会学」の先駆けともいえる見田宗介は,「コンサマトリー」や「交響」といった独自の概念でもっていかなる社会を展望したのか。正確な読解と大胆な再解釈によって明らかにする。
【目次】
序 章 社会構想の社会学と見田宗介の社会学体系
一 社会構想の社会学とは
一・一 現代社会の諸問題と社会構想の社会学
一・二 舩橋晴俊による社会構想の定義
一・三 社会構想と社会学──学史的・方法論的背景
一・四 原理論か、政策論か
一・五 触発的連鎖の一環として
二 見田宗介の社会学体系
二・一 研究計画の体系的整理
二・二 社会構想の社会学との対応関係
三 本書の構成
第一章 見田の理論と思想をどう読むか 24
一 見田読解の現況
二 内在的読解をふまえた創造的・発展的再構成へ
第二章 ゆたかな社会の倦怠と虚脱
一 「夢の時代」の社会学者──原点の高度経済成長期
二 贅沢な悩み──「現代における不幸の諸類型」(一九六三年)
三 リアリティの稀薄と近代のニヒリズム
第三章 ニヒリズムの存立構造
──集列性・交換価値・手段主義──
一 近代の根本問題
二 ニヒリズムの存立構造
二・一 私的所有・エゴイズム・集列性──近代社会の原基
二・二 貨幣と時間──数の物神化
二・三 未来への疎外──関心の遠隔化と手段主義
三 かけがえのなさを感受する能力の再建──コンサマトリーと交響
第四章 コンサマトリー概念の再構成
──脱効用のエクスタシー──
一 コンサマトリー概念の〝深み〟
一・一 現在を楽しむ?
一・二 コンサマトリー概念小史
二 コンサマトリー概念の再構成
二・一 〈世界〉への溶解──『時間の比較社会学』(一九八一年)
二・二 効用の彼方──「人間的欲求の理論」(一九六九年)
二・三 消尽の歓喜──『現代社会の理論』(一九九六年)
二・四 焼身への衝迫──『宮沢賢治』(一九八四年)
二・五 裂開の恍惚──『自我の起原』(一九九三年)
二・六 無償の贈与──「走れメロス」(二〇一六年)
三 尽きなく存在すること──フィクションとしての社会構想
第五章 交響の弁証法
──他者と出会う歓び──
一 見田宗介の根本概念
一・一 関係の理論と交響の概念
一・二 交響をめぐる問題──相乗性と相剋性
二 相乗性と交響
二・一 溶融と交響──「交響するコミューン」(一九七三年)
二・二 相乗性=裂開=溶融──『自我の起原』(一九九三年)
三 相剋性と交響
三・一 出会い──相剋性の因子
三・二 反転──因子と磁場
三・三 往還──外化と内化
内容説明
見田宗介が見つめた人間と社会の可能性とは。戦後日本を代表する社会学者・見田宗介の思索を「社会構想の社会学」として再構成。独自の理論や概念の射程を問いなおす。
目次
序章 社会構想の社会学と見田宗介の社会学体系
第一章 見田の理論と思想をどう読むか
第二章 ゆたかな社会の倦怠と虚脱
第三章 ニヒリズムの存立構造―集列性・交換価値・手段主義―
第四章 コンサマトリー概念の再構成―脱効用のエクスタシー―
第五章 交響の弁証法―他者と出会う歓び―
第六章 ルール圏と潜勢する交響性―多文化主義論/親密圏論によせて―
第七章 真木悠介の誘惑―方法論と文体の実験―
終章 見田宗介から社会構想の社会学へ
著者等紹介
〓宮俊貴[トクミヤトシキ]
1994年兵庫県西宮市生まれ。現在、大阪産業大学国際学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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