出版社内容情報
僭主政の本質を衝き、新たな解釈を提示
前古典期のギリシアでは,アテナイのペイシストラトスの支配を始めとして各地に僭主政が簇出したとされ,それらには貴族政から民主制に到る発展において重要な役割が賦与されてきた.
本書は,そのような従来の学説をあらためて検討し,ギリシア僭主政の本質を衝く新たな解釈を提示する.
内容説明
僭主政の本質を衝き、新たな解釈を提示。ギリシアの僭主政は、民主制へと至る発展過程であるとする通説に対し、丹念な精読と考察からその意味を問い直す。著者畢生の論文集。
目次
第1部 僭主政(コリントス;シキュオン;メガラ;アテナイ;サモス;シケリア;南イタリア;その他諸地域;ギリシア僭主政論)
第2部 民主政(偽クセノポン『アテナイ人の国制』)
第3部 批評(ギリシア史の批評をめぐって;新訳『アテナイ人の国制』に寄せて)
付(変人のすすめ)
著者等紹介
芝川治[シバカワオサム]
1947年生まれ。京都大学大学院文学研究科(西洋史専攻)博士課程単位修得退学。元大手前大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みのくま
3
本書は不思議な本で第一部は古代ギリシアの各ポリスに成立していた僭主政についての解説があり、第二部は偽クセノポン「アテナイ人の国政」解説、第三部は90年代に活躍していた日本のギリシア史研究家をボロクソに腐し、あとがきで日本の空気文化を批判して寂しげに終わる。文体も文語体に近く、令和5年に刊行された本とは思えない程だ。僭主政論および国政論に関しては、古代ギリシアが発展的に民主政に到達したとする進歩主義的歴史観は虚構であるとし、マルクス主義歴史観の批判にまで及ぶ。ギリシア史家が本書をどのように読むのかが気になる2024/06/19