出版社内容情報
本書では、近代日本と朝鮮半島の関係を捉え直すための媒介として、「朝鮮牛」に着目する。朝鮮牛は、帝国経営を支えた重要な農業・軍需資源であり、朝鮮植民地化の過程でその確保と消費は体系化していった。日本による朝鮮牛統制の歴史的展開を国際的な視点から分析することで、新たな日朝関係史像を提示する。
内容説明
本書では、近代日本と朝鮮半島の関係を捉え直すための媒介として、「朝鮮牛」に着目する。朝鮮牛は、帝国経営を支えた重要な農業・軍需資源であり、朝鮮植民地化の過程でその確保と消費は体系化していった。日本による朝鮮牛統制の歴史的展開を国際的な視点から分析することで、新たな日朝関係史像を提示する。
目次
朝鮮牛をめぐる論点と本書の課題
第1部 近代朝鮮牛貿易の変容(朝鮮牛の流通と輸出;日本の牛疫問題と朝鮮牛政策の形成;朝鮮南部における日本の検疫体制強化;朝鮮北部における生牛貿易の構造と変容)
第2部 植民地化の進行と朝鮮牛利用の拡大(明治期日本の製革業と朝鮮牛;朝鮮牛統制の深化;植民地軍需製革業の成立)
朝鮮牛からみる日本と朝鮮の近代
著者等紹介
〓允杰[ジャンユンゴル]
1983年韓国ソウル生まれ。現在、韓国学中央研究院博士研究員、一橋大学大学院言語社会研究科特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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博士論文の書籍化という。 朝鮮の牛が戦前日本にとって重要な資源であった詳細を統合的にまとめなおそうとしたもので、朝鮮が日本の植民地となっていく過程で、牛を通して両国の関係が変化・進展したようすを描き出している。 食肉はもちろん、役畜としても用途があり、さらに皮は軍靴に加工された。しかし、牛疫の流行を引き起こすことにもなり、検疫態勢の整備にもつながった。また、牛の流通がロシアをふくめた国際的な規模で問題となっていた。 ただ、説明の図式が少し単純すぎるように感じた。戦争や軍と結びつける語り口は……。 2023/10/23