出版社内容情報
東西冷戦の最前線にあった西ドイツとアメリカの関係を,新たに公開された史料を基に考察.冷戦が変容する時期の西ドイツの外交政策を追い,重層的な独米関係にアプローチする.
内容説明
独米関係の多面的理解に向けて。東西冷戦の最前線にあった西ドイツとアメリカの関係を、新たに公開された史料を基に考察。冷戦が変容する時期の西ドイツの外交政策を追い、重層的な独米関係にアプローチする。
目次
序章 冷戦変容期の独米関係への視座
第1章 西ドイツのNPT政策と独米関係―「欧州オプション」に着目して
第2章 在欧米軍削減問題と独米関係―オフセット交渉と負担分担問題に着目して
第3章 ブラント政権の東方政策と独米関係
第4章 分断克服に向けた西ドイツの構想と独米関係―バールのヨーロッパ安全保障構想を中心に
第5章 シュミット政権のCSCE政策と独米関係―ベオグラード再検討会議における人権問題をめぐる対立に着目して
終章 冷戦変容期の重層的な独米関係の理解のために
著者等紹介
妹尾哲志[セノオテツジ]
1976年大阪府生まれ。2008年ボン大学(Rheinische Friedrich‐Wilhelms‐Universit¨at Bonn)哲学部博士課程修了(Dr.phil.)。現在、専修大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
15
冷戦変容期のブラントの東方政策によって独米関係がどのような構図の元に置かれたかに注目した。西ドイツは東方政策を通じて緊張緩和を促進し、安全保障環境の向上に取り組む。他方で、東側の脅威を低下させることで米の欧州への関与が弱まるのを避けるためにも米との同盟の必要性を強調する。本書ではこの両義性を浮上させた点がポイント。◇欧州にとって米との同盟、とりわけ安全保障上で米をいかに関与させるかは古くて新しい課題。冷戦時の話とは言え、今まさに欧州が抱えているジレンマと似通った構図。2025/03/19