内容説明
ヨルダンは、資源に恵まれず紛争地域に囲まれた小国でありながら、中東戦争、難民問題、アラブの春で揺れる中東国際政治を巧みに生き抜いてきた。本書では、ハーシム家を国家の柱とするヨルダン政府がどのように体制防衛を成功させてきたのか、比較政治学、国際政治学、中東地域研究の分析枠組を駆使し、その全貌に迫る。
目次
序章 強い「弱国」をめぐるパラドクス
第1章 建国史―ハーシム家王制の正統性を巡る議論
第2章 政治体制の強靱性―「アラブの春」の事例から
第3章 もうひとつのヨルダン史―ムスリム同胞団運動の発展
第4章 社会運動―ヨルダンの「アラブの春」は終わったのか
第5章 緩衝国家における「国王陛下の軍隊」の構造
第6章 開発援助と安全保障―日本の対ヨルダンODAの事例から
終章 体制の現在と未来
著者等紹介
吉川卓郎[キッカワタクロウ]
1974年岡山県生まれ。2003年立命館大学大学院国際関係研究科単位取得退学(国際関係学博士)。現在、立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授。専門は比較政治学、国際政治学、中東地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Masayuki Shimura
2
【今日のヨルダンは、強いアクター間の緩衝地帯と言うよりも、不安定な国家をまたいだ紛争の負の連鎖を抑止する緩衝地帯になったといえよう】(文中より引用)・・・・・ヨルダンに関する深度を持った包括的な邦字書がないこともあってかなり貴重な一冊。学術本ではありますが歴史的な文脈もきっちり紹介しながら筆が進んでいるため読み進めるのにあまり苦労を必要としない点も高評価です。2021/01/07
やん
1
図書館の新着コーナーで。ヨルダン軍について知りたかったので第5章のみ拾い読み。時間のある時にまた借りてじっくり読むかも。2021/01/23