内容説明
対米感情に映る「アメリカ」言説の深層を追う。国も個人も時代も影響を受けずにはいられない存在、「アメリカ」。世界に展開した多様なイメージの底流を比較文学/文化の視点から究明する。
目次
第1部 日本文化における「アメリカ」(川端康成『伊豆の踊子』とThe Izu Dancer―アメリカ冷戦期文化政策と翻訳された自然;民主主義とエマソン―高木八尺におけるアメリカ言説のアイロニー;大衆社会の「美」に逆らうもの―三島由紀夫の批評的創造;村上春樹の『地獄の黙示録』受容とヴェトナム戦争―エッセイ『同時代としてのアメリカ』から小説「午後の最後の芝生」へ;ふたつの名前を持つ映画について―谷崎潤一郎「人面疽」論;「アメリカ」を書き直す―川端康成の1930年前後をめぐって)
第2部 アメリカ言説の諸相(親愛なるアメリカの不在―ロシア語亡命詩人ブロツキーの詩学・世界図;ポストコロニアルなアメリカ表象へ―韓国における“戦後”のアメリカ表象をめぐって;ゾンビ―アポカリプス的世界観から生み出される未来への希望;司馬遼太郎が見たアメリカ―比較文化心理学・文化心理学・異文化マネジメントの観点から;江藤淳の“反米”と「私」―『アメリカと私』再読;反米主義―「感情のうねり」をめぐる私考)