内容説明
競合する歴史認識にどう向き合い、和解を実現するか。歴史問題の和解を促進していくには、「歴史問題」を相対化し、異なる歴史認識をもつ者同士が互いに反対論のうちに共通点を求め、「歴史問題」を和解に導く努力を継続していくことが重要である。本書では、歴史問題における国家のパワー・バランス、市民社会相互の交流、歴史和解に関するドイツ・モデルの検討から、和解へのアプローチを模索する。
目次
競合する歴史認識、変動する東アジア国際関係―グローバル化、パワー、ナショナリズム、アイデンティティ、市民社会、歴史問題
第1部 東アジア国際関係の構造変動と歴史問題(東アジア国際秩序の変化と日韓関係―歴史問題と安保の二重葛藤の構造;日韓関係における歴史問題と安全保障の連動―消極的安全保障から積極的安全保障へ)
第2部 日韓歴史問題と歴史和解(「戦争を知らない」世代が歴史和解において果たす役割;歴史問題の発生メカニズムと和解のプロセス―日本軍慰安婦問題を中心に;歴史認識をめぐる日韓関係と「被害者ナショナリズム」―「反対論のうちに共通点を求める」)
第3部 日中歴史問題と歴史和解(中国における戦争記憶の構築と日中和解―中国の映画/テレビドラマの視点から;中国におけるヒロシマ・ナガサキの記憶)
第4部 ドイツ、アメリカの歴史問題と歴史和解(戦争終結後におけるベトナム戦争をめぐるアメリカとベトナムとの和解―枯れ葉剤散布による被害への対応をめぐって;西ドイツの東方政策における対ポーランド関係と人道問題、一九七〇年~一九七五年)
第5部 知的交流と歴史和解について考える(越境する歴史認識に向けて―帝国日本の中国占領期における日中歴史問題とトランスナショナルな研究;和解のプロセスと「歴史」の多様性)
著者等紹介
菅英輝[カンヒデキ]
コネチカット大学(米国)大学院史学研究科博士課程単位取得退学、法学博士(一橋大学)。現在、京都外国語大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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