内容説明
ヘーゲル論理学の近代的意味の考察と存在論各部の解釈を行う。ヘーゲルが論理学に求めた改革と形而上学復権の意図を明らかにし、形而上学の主題「存在」の真理が「本質」とされるに至る過程を追究する。
目次
ロゴスの学としての論理学―真の存在への道
第1部 論理学の理念と課題(超越論的論理学の継承と批判;論理的観念論;存在観の転換)
第2部 学の原理と展開(原理の探求―純粋知の生成と境位;差異の発現―ドイツ観念論の内部論争とヘーゲル;無限性の回復―有限なものへの眼差し)
第3部 無限性の構造(対自存在と真無限;数学的二律背反と量的無限性;数学的無限の概念規定性―近代解析学と哲学)
第4部 質量の無限性と本質への理路(質量の形成と遷移―質と量の統一と解離;結節線の生成と基底―絶対的無差別と本質;無差別論の転回―ドイツ観念論の岐路)
著者等紹介
山口祐弘[ヤマグチマサヒロ]
1944年東京都生まれ。1968年東京大学文学部哲学科卒業。1976年東京大学大学院人文科学研究科哲学専門課程博士課程満期退学。1986年ブラウンシュヴァイク大学客員研究員。1989年Ph.D.(ブラウンシュヴァイク大学)。現在、東京理科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
4
『大論理学』のコメンタリーに関しては、しんどいもの多いと思うけど、これはよかった。筆者は歴史的文脈を丁寧に押さえつつも、ヘーゲル哲学を一般に開くという難しい課題にずっと取り組んでるように思う。基本的に先行文献の参照はないので、研究入門という感じではないし、そもそも難しいけれど、用語の定義もあるし、『大論理学』は読み通せない人もこっちは読み通せるのではと思う。「イデール」の二義性、スケプシス主義の強調、質やら量の議論に食らいつくところが印象に残ってる。読まれてほしいなあ。2021/11/28