内容説明
これまでの地政学による地理上の国家間関係・安全保障だけではなく、石油・天然ガス・原子力など資源エネルギーを独占する多国籍企業ネットワークや金融など、今日の複雑化する国際情勢を新たに「4D地政学」を提唱することで読み解く。21の逆説で混迷の国際情勢を読み解く。日本人の常識を覆す「英国が中心の世界地図」の視点を用い、国際社会における日本の戦略を再考。「4D地政学」で21世紀の問題郡への新たな視点を提供する。
目次
地政学とは
第1部 アメリカ・ファーストと新しい国際秩序(米国が築いてきた第二次世界大戦後の国際社会体制;石油を巡る国際関係の歴史;天然ガスの地政学;原子力の歴史;原子力の地政学;シェール革命とアメリカ・ファースト;「EU離脱後」の英国を考える;ドイツの「生存圏」確保のために存在するEU;ロシア―停滞と復活の間で;急拡大する中国とどう対峙するか)
第2部 地理で考える政策科学(国際通貨政策の地政学;成長戦略と地政学;エネルギーから福祉の循環型地域ネットワーク形成と紛争回避―ロシア・サハリン州を事例として;民主主義を考える;未来の地政学)
著者等紹介
上久保誠人[カミクボマサト]
1968年、愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。立命館大学政策科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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清水勇
7
地政学という聞き慣れない学問で国際政治を読み解くという題名に惹かれて手に取る。地政学は地理的環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的影響をマクロに研究する。この本では、国家紛争史、特に石油、天然ガス、原子力を巡るパワーゲームの実態を、日本のマスコミと相反する説明をする。印象に残ったのはイギリス。EU離脱で没落の道を歩くと見られているが、実態は日本が足元にも及ばない、世界中に張り巡らせた大学や企業の人的ネットワークで今後も強かに生き残ると説明。日本がその強かさを身につけるには、自分の頭で考える重要性を痛感。2020/05/06