内容説明
独立を目指すモンゴル知識人たちの苦闘。ナショナリズムとは政治的単位と文化的単位を統一しようという運動であるという観点から、文化の分野に焦点を当て、1930年代のモンゴル人のナショナリズムを研究するものである。
目次
第1部 モンゴル知識人の誕生(モンゴル知識人ヘーシンゲーとその教育啓蒙活動;内モンゴル・ナショナリズムの文化活動―1920年代のモンゴル語出版事業を中心に)
第2部 知識人の成長と成熟(モンゴル・ナショナリズムの高揚と留学生の思想・活動―東京と北平;モンゴル知識人とナショナリズムの発展・熟成―ハーフンガー;1930年代のモンゴル・ナショナリズムにおける文化と経済―ブフヒシグとハダー;内モンゴル知識人の近代的軍事思想と日本―アスガンと郭文通)
補論 オウェン・ラティモア著『満洲に於ける蒙古民族』(1934年)について
著者等紹介
烏雲高娃[ウユンゴワ]
1991年中国内蒙古大学モンゴル言語・文学学部卒業。2009年東京学芸大学大学院社会科教育研究科修士課程修了。2015年東京外国語大学大学院国際社会研究科博士後期課程修了、博士(学術)。2015‐2017年東京外国語大学大学院総合国際研究院特別研究員。2016年‐東京外国語大学AA研究所ジュニア・フェロー。中国内モンゴル・シリーンゴル職業学院蒙古文化研究所口述史プロジェクトに参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
15
著者はモンゴル出身の研究者. 満州国時期の代表的な内モンゴル知識人の活動・思想をモンゴル・ナショナリズムの観点から考察・分析している. 内モンゴル人の言語, 歴史, 経済, 軍事(の近代化)も含めた多分野の文化は, 満州国時期に大きく発展した. しかし内モンゴル人のナショナリズムは主体的自覚に弱さがある, と著者は指摘している. 内モンゴルの独立が挫折した原因を, 当時の国際情勢からの外因説だけに目を向けるのではなく, モンゴル人自身の内因からも探ろうという著者の試みは貴重なアプローチだと感じた.2018/05/30