内容説明
アメリカの核抑止政策は、日本外交の対米依存の源流をなし、中国や北朝鮮の核開発の重要な背景ともなっている。本書は、一次史料にもとづく、「核の世紀」の歴史的検証を通して、アメリカ中心の核ガバナンスがもたらした現代世界のアポリア問題を照射する試みである。
目次
序論 原爆・核抑止・核ガバナンス
第1部 アメリカと核ガバナンス(ニクソン政権によるアジア防衛戦略の検討、一九六九‐一九七二年―中国の核戦力増強とアメリカの「核の傘」の実相;アメリカの原子炉輸出政策と日本の選択―アメリカ製技術への「信頼」の形成;北朝鮮の核破壊を企てる、一九五〇‐二〇一六年)
第2部 アメリカの核ガバナンスと日・中・韓・北朝鮮の対応(日米安保・核をめぐる日本の国内政治と「核の傘」依存政策の形成、一九六四‐一九六八年;中国の核兵器開発の道程と日米の反応、一九五四‐一九六九年;朴正煕政権の「自主国防」と核開発、および「日韓経済協力」;ゴルバチョフ外交と北東アジア冷戦構造の変容‐ソ連・韓国・北朝鮮・日本の四カ国関係から見る北朝鮮核開発の淵源)
第3部 アメリカの核ガバナンスと西ドイツの対応(核不拡散と同盟国の安全保障―NPTをめぐるジョンソン政権の対独政策、一九六五‐一九六八年;大連立政権のNPT政策と「欧州オプション」、一九六六‐一九六九年;核共有、同盟関係と西ドイツの国内政治)
著者等紹介
菅英輝[カンヒデキ]
コネチカット大学(米国)大学院史学研究科博士課程単位取得退学、法学博士(一橋大学)。京都外国語大学外国語学部客員教授
初瀬龍平[ハツセリュウヘイ]
東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、法学博士(神戸大学)、神戸大学名誉教授。京都女子大学法学部客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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