目次
山村と近代、山村とポストモダン
第1部 「都市の収奪」に抗して―山村と近代との出会い(「異質なるもの」との出会いと受容―芦生・なめこ生産組合から美山町・グリーンツーリズムへ;心情ある専門人たちの憂鬱―美山町職員達の目から見た町おこし;茅葺きの民俗の変化と「観光」;Iターン移住とその仲介者たち―美山町における観光村おこしの出発点;村おこしとエイジスムの克服―過疎地域における「老い」の意味;山村の内発的発展を支えるリーダーたち―リーダーシップ論の革新のために)
第2部 「都市の憧れ」と山村の戸惑い―山村とポストモダンとの出会い(新たな観光とIターン者―美山町における町おこしを例として;「原生林」の誕生―「自然」の社会的定義をめぐって;「ふるさと」のまなざし―美山町Iターン者と観光開発を事例に;「日本の原風景」と文化ナショナリズム―故郷を消費する都市、故郷を創造する農山村)
第3部 「都市の論理」と記憶の中の美山町(平成の大合併―美山町から南丹市へ;巧みな語りと記憶の力―高齢者たちの日常世界を読み解く)
著者等紹介
田中滋[タナカシゲル]
1951年兵庫県生まれ。1982年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、龍谷大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
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芦生の内発的発展はなめこ栽培という形で1961年にスタート。集落ぐるみ、家族ぐるみ(傍点)でできる仕事をおこそうという取り組み(29頁)。小田切徳美教授のプラス3万円の発想に近いのかも? 茅葺き屋根は、茅場の維持を可能とする土地利用のあり方、近隣の互助関係、茅葺き技術の維持を必要としている(69頁)。文化とは常に変化し続けるものである。観光で獲得されるアイデンティティが望ましいものであるほど市場原理という不確かで暴力的なものの中へ、文化とともに投げ出していくという矛盾を孕んだ行為である(86頁)。2018/03/27
tnk
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2017年出版ながら、00年代初頭の調査が核であることに要注意。人口減が一時的に鈍化した時期の研究ではグリーンツーリズムを「成功」と言えたかもしれないが、その後に過疎化が大きく進んだ現状を踏まえれば、どう見るか。2024/01/06