内容説明
沈黙と区別もつかないかすかなひびき―表現の限界の内側から触れられる、表現の零度へ。「私が語る」/「ことばが語る」の境界水位。
目次
第1章 沈黙の詩法―メルロ=ポンティにおける「沈黙」のモチーフ
第2章 世界の肉―メルロ=ポンティとクロード・シモンについての小さな考察
第3章 モンタージュ、同時性―メルロ=ポンティにおける不在のイマージュ論に向けて
第4章 私はこの世ではとらえられない―クレーをめぐるメルロ=ポンティとハイデガー
第5章 見えないもの、隠れたもの―後期メルロ=ポンティにおけるハイデガー読解をめぐって
第6章 スクリーンとしての主観性―表象の可能性の条件としての身体
第7章 彼に触れないこと、メルロ=ポンティ―デリダのメルロ=ポンティ読解をめぐって
第8章 肉と渦動―存在の間パトス的な次元
第9章 螺旋状の発達と相互内属―メルロ=ポンティにおける肉と生殖の問題
第10章 「あいだ」の共有―生命の現象学と臨床哲学 メルロ=ポンティ、ヴァイツゼカー、木村敏
第11章 沈黙と偶然―田辺元『マラルメ覚書』をめぐって
著者等紹介
加國尚志[カクニタカシ]
1963年大阪府三島郡生まれ。1993年立命館大学大学院文学研究科西洋哲学専修博士後期課程修了(文学博士)。現在、立命館大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gorgeanalogue
4
後期のメルロ=ポンティの言語と芸術における「表現」と、フッサール現象学との関係に焦点を当てて論じたものだが、「読みやすさを求める方々には本書はおすすめできない」と宣言されていて、単行本としての統一性は強くない。現象学のアウトラインをまさぐっているに過ぎない読者としては、十分に理解できたとは言えない。でも著者のモティーフは一貫しているし、著者の補助線によって現象学の言葉にリアリティを感じることができるようになった部分も多かった。「モンタージュ、同時性」「肉と渦動」は面白かった。最後のマラルメ論は不要か。2020/08/24
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