内容説明
ライトノベルの「セカイ」は社会性が薄いといわれることもありますが、本当にそうなのでしょうか。社会性に困難をおぼえるといわれる人(自閉症をかかえる人)が生きる世界と、ライトノベルの「セカイ」を比べたとき、そこにはどんな「社会」が見えるのでしょうか。さあ、ふたつの世界へ一緒に旅に出ましょう。社会学的超訳ライトノベル?!
目次
第1部 本書の視点(ライトノベルと自閉症者の世界―社会学の視点)
第2部 社会学からの眺め(演技と距離―ゴフマンのミクロなまなざし:『灼熱の小早川さん』;ループはめぐる―社会構築主義とハッキング:『ヴィークルエンド』;リスク・個人・廃墟―ベックと第二の近代:『エスケヱプ・スピヰド』)
第3部 ライトノベルさまざま(偶発性と誠実―ギデンズの純粋な関係性:『生徒会の一存』;額縁と転調―ゴフマンの自己論;放課後のドン・キホーテ―シュッツの多元的現実:『電波女と青春男』;世界との出会い方―真木悠介の比較社会学:『ソードアート・オンライン』)
フィクションのリアリティ―社会学の想像力
『魔王なあの娘と村人A』
著者等紹介
竹中均[タケナカヒトシ]
1958年生。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。早稲田大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もっち
4
ラノベと自閉症ってまた安直な、と思いながらも読んでみた。社会学理論の簡単な教科書という感じだったけど、そこそこ面白い視座もあったように思う。SAOの世界って普通に分析すれば主人公へのエンパワーメントだけど、まさかの真木悠介とのコラボで「分析」がなされていて、二つの世界を同時に肯定することというような書かれ方をしていた。2016/07/06
kenitirokikuti
2
このタイトルと表紙からはあまり良い印象を受けなさそうなので、読後のいま先に書。この著者は自閉症の子を持つ社会学者である。先天的な発達障害であるところの自閉症者を社会的に包括するような視点で社会学しているようだ。ラノベはフィクションなのだが、それは承知の上でノンフィクションのように扱っているのだ▲最近、文化人類学者がバイオ系の先端研究所に参与観察したりする研究があったりするが、そうした角度のものと著者が語っている箇所がある。2017/06/24
Merofish
1
タイトルにある自閉症から読んでみた本。どちらかというと自閉症の記述より、ライトノベルに対する考察のほうがおもしろい。超人的なやつや、わがままなやつ、話をきかないやつ、すきなことをはなしはじめるやつ。願望をカテゴリ向けしていて大変興味ぶかい。主人公からみたキャラクターではなく、このキャラクターならどう考えるか、どういう思考になるかという基本的なことを考えさせられる一冊。2020/09/04
yumechi
0
ライトノベルと精神構造、社会構造を絡めて読んでいくと非常に興味深いが、前提知識が不足しているためにすごく読みづらかった…。社会構造のこととかもっと深く学んでから読み直したいかも。2016/09/03
shibacho
0
いろんな学術雑誌に掲載した文章を集めているせいもあるだろうが、著者が「自閉症」をどう定義しているのかわからないまま読み終わってしまった。どうも「内向的で言葉を額面どおり受け取ってしまう空気の読めない人」程度を「自閉症」と呼ぶならば言い過ぎなのではと思った。タイトルを刺激的にするために敢えて「自閉症」という言葉を使ってるのかと思いきや東田直樹氏に触れているあたり、著者は自閉症の論じ方が乱暴すぎなのではと感じた。ラノベについては涼宮ハルヒ以降あまり詳しくない人の感想でした。2016/06/19
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