内容説明
今なぜ「オウム」を問うのか。震災以後、私たちはどこへ向かうべきなのか。各界からの知の問いかけ。
目次
第1章 時代背景
第2章 端緒―終末戦と超能力開発
第3章 ヨーガ教室から宗教団体へ―ヴァジラヤーナへの道
第4章 オウム真理教の成立―教理の概要と救済観
第5章 ヴァジラヤーナへの移行
第6章 元信者たちの告白―グル崇拝の呪縛
著者等紹介
渡辺学[ワタナベマナブ]
1989年筑波大学大学院博士課程哲学・思想研究科修了。文学博士。現在、南山大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うちこ
6
オウム真理教の説いていたグルと弟子の関係についてはヨーガのシヴァ派の教典に書かれていることでもあるので、それを信じる根拠にしようとすれば、まあできる。 ツッコミどころは仏教とのブレンドっぷりなのだけど、いまのようなネット社会であればその矛盾はすぐに指摘されたのではないかと思います。オウム真理教には、インターネットがない時代だからできたことが多かったんじゃないかな。読みながら、そんなことを思いました。 2018/05/21
mittsko
4
梅原猛総監修《シリーズ 文明のゆくえ―近代文明を問う》の一冊 本書はオウムの短い歴史をコンパクトかつ大変わかりやすく順にたどっていく これにより、「現代日本社会における宗教の問題」としてオウム事件をとらえかえそうとする すなわち、筆者の強調するところによれば 事件はまさしく「宗教的」なものだった、少なくとも「麻原はさまざまな事件に対して何らかの宗教的な意味づけを行っていた」というのだ 実に真っ当な指摘だと思う 丁寧な根拠づけと落ち着いた筆致、明確な論点形成 近代文明論かどうかはさておき、良書!2015/05/21
マウンテンゴリラ
2
一連のシリーズ本の一環として、全体のテーマである近代文明を問い直すという意味で、非常に重大な事件であったということは理解できる。反面、そのあまりにも特異的な個人の求心力を背景にした事件だけに、はたして文明との一般的な因果関係を見いだしうるのかという疑問はなお残る。しかし、教祖の特異性云々よりも、あのような終末論を背景にした宗教が、多くの信者を獲得し、反社会的勢力に至る背景には、近代文明の歪みが深く関係していると言えるだろう。自分自身も、よもやあのような宗教(まがい)に心を奪われることはあるまいが、→(2)2018/01/24
Gin
1
ため息出るわ。極度の誇大妄想と被害妄想をもった反社会的人格障害者が、取り返しのつかない予言をして、それを実現させることで自らを「大量ポアをする者としてのキリスト」であると証明しようとした、と。本当のところは何一つわからんが、オウム事件の大きな要因は、教祖の本当に救いがたい自己実現にあったのかもしれんな。迷惑どころの話じゃないわ。ホンマため息出るわ。妄想も大概にせえよ。こんな奴が他にどれだけおるんか知らんが、頼むからもうどっか遠くへ、違う星にでも行ってくれ。二度と普通の人を巻き込まんでくれ。…はぁ、、最悪。2014/12/10
大熊真春(OKUMA Masaharu)
0
すっきりまとまっているのだが、教義についての詳細な考察については難しすぎてついていけなかった。宗教学をちょっとかじらないとだめだね。2015/12/24