内容説明
現代貧困と環境破壊の悪循環に巻き込まれている今日の人類が、経済成長をとるか、自然環境保全をとるかに迷いながら、経済成長と環境保全が両立できる道を探し求めている。それにしたがって、経済成長と自然環境とが共にかかわっている産業構造のあり方とその変動の方向づけの探求、およびその決定要因などの問題が当然に問われることになる。ところが、従来の自然環境を捨象する伝統的経済学の視野に基づき、経済成長を前提として成立した産業構造論には、このような新たな課題に対応できないという限界があると思われる。それゆえ、今日の産業構造変動の解明の視角から経済成長と環境保全の両立できる道を探求しようとする際、人間と自然をも含む広義的視野を設定しなければならない。
目次
第1章 産業一般と人間、自然、経済
第2章 広義経済の調和的目標と3次元的価値空間
第3章 産業の歴史的分類と理論的分類
第4章 広義経済過程視角からの産業構造変動の要因分析
第5章 産業構造の高度化と広義経済過程の持続的発展
第6章 産業構造の調和化と広義経済過程の協調発展
第7章 第4次科学技術革命と第0次産業の拡大
第8章 悪循環脱却のための産業調整理論の構築
第9章 環境産業因子を導入した産業連関分析モデルの構築について―調和型循環社会モデルの計量化へのアプローチ