内容説明
「自然との共生」は今日すでにイデオロギー化しつつある。本書は自然の概念を「外なる自然」のみならず、感情や衝動などのわれわれの「内なる自然」とも解し、西洋近代の美学芸術理論のうちに、人間の自然支配への反省に基づく内外の自然との和解の理念を探ろうとしたものである。自然との共生のルーツともいうべきこの思想は、カント、シラー、アドルノなどの美学芸術理論のうちにすでに含まれていることを論証する。
目次
第1部 芸術と自然(自然の模倣と創造;精神と自然との和解としての芸術;崇高の美学)
カントにおける自然と自由との媒介(美;崇高における和解;美と陶冶;カントからシラーへ)
第3部 アドルノにおける芸術と和解(芸術とイデオロギー;自然との和解―主体の内なる自然の想起;自然の美的経験;芸術的表現の可能性)
著者等紹介
村田誠一[ムラタセイイチ]
同志社大学文学部卒業。同志社大学大学院文学研究科美学および芸術学専攻博士課程修了。博士(哲学)。現在、同志社大学文学部・文学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。