内容説明
本書の目的は、政治哲学の中心問題の幾つかと、これまでに試みられた最も興味深い解決策とについて、読者に判断力をつけてもらうことだ。そのため著者は、答えと取り組み方を求めて政治哲学の宝庫に押し入って、一連の問いを通じてこの主題を探究した。現代の論争や完全な学問的歴史について体系的説明を与えようとするよりは、最も重要な論題に関する最も思考を喚起する著作(というか、著者がそう思った著作)を探究するために、何世紀も(時には何千年も)飛び越えることがあった。
目次
1 自然状態
2 国家を正当化する
3 誰が支配すべきか
4 自由の位置
5 財産の配分
6 個人主義、正義、フェミニズム
著者等紹介
ウルフ,ジョナサン[Wolff,Jonathan]
1959年生まれ。現在、ロンドン大学ユニヴァーシティカレッジ(上級)講師Reader・哲学科長Head of Department。著作は「訳者あとがき」参照
坂本知宏[サカモトトモヒロ]
1961年、生まれ。1993年、神戸大学大学院文化学研究科単位取得。現在、大阪電気通信大学非常勤講師。論文に「ソクラテスとカリクレス」(関西哲学学会年報『アルケー』No.2)「ソクラテスの哲学活動について」(『神戸大学文学部紀要』25)
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感想・レビュー
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サンセット
2
自然状態、国家、民主主義、自由、財産配分、個人主義と、章立てはある程度論理的に順序立っているが、出てくる人物は比較的過去から順番に紹介している。和訳が微妙だが、囚人のジレンマを元にした自然状態や一般意志の説明や、合理的選択にも期待値最大化戦略やマキシミン戦略など複数の立場が考えられることなどは勉強になった。自由の範囲や財産配分などについては有力な立場が見出しづらいと論じ、最終的には正義に厳格すぎるのは却って人間関係の構築を阻むのではとも言及する。正義とはそこまで前面に押し出すべきものではないということか。2018/01/26
せき
1
大学の時に授業で使用した本。一部しか授業で取り扱われず、気になっていたので購入し直して読んでみた。今の政治システムがいかに暫定的でアンバランスなものかがよく分かった。信頼と正義のさじ加減なのか、功利主義にまだ活路があるのか。これからの世界中の各国がどんな国家を形成していくのかにも注目したい。大学の時に好きだった部分は「期待効用の最大化」「マキシミン」「マキシマックス」の考え方。自分は基本的にマキシミンで生きたい人です。2022/10/16
komi_komi
0
(図書館本)バランスのとれた入門書。テーマ別の構成が良い。2009/01/17