目次
第1章 倫理的要請の根拠についての問(手掛りとしての社会的関係とそれに内在する責務;現在の状況の歴史的前提;道徳的責務の普遍性という性格についての問;倫理的態度形成の条件としての普遍化と具体性;倫理的規範の根拠づけの形式)
第2章 道徳教育の課題としての善の洞察(教育的短絡;道徳性と社会的な振舞の規制―道徳教育の手段の構成的両義性;道徳の妥当性の末決定な人間学的根拠;教育的行為の自己理解に対して社会的現実が占める割合;不確定な道徳的責務からの出発;対話を媒介にした善の具体的な伝達;対話の諸条件;信頼という基礎;対話の二重の極)
感想・レビュー
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うえ
7
「ヒュームとニーチェによってわれわれにもよく知られるようになった批判ーつまり、普遍性の原理あるいは恒常的存在の定立といったようなまったく合理的に見える諸原理そのものも、実は、非合理に根ざす生の要請であるという批判ーをわれわれがもう一つ考慮に付け加えるなら、倫理的命題の根拠づけという問題は完全に疑わしくなり、それ自体曖昧となる。合理以前に根拠をもち最終的には非合理的でありつづける諸々の見地に対するどのような影響を思惟や思慮に帰そうとしているのかは、個人の信条的心構えの問題であるにすぎないように見える。」2021/11/15