目次
1 現代と故郷喪失(戦後批評の出発―『近代文学』派とその周辺;革命幻想の崩壊と知識人;安部公房と敗戦体験;近代における風景論の系譜;日本の近代と故郷;「故郷」についての断想)
2 現代の世相と文学(性の解放と禁忌;政から性へ陥没した大学生;「男らしさ」の復権は可能か;文化の流れと変容の原核―父権甦えりてこそ;「父なき社会」のアポリア;軍国主義は復活するか―中国問題を考える;新左翼の頽廃;「しらけの世相」と過激派の盛衰)
3 現代の作家素描(川端康成・虚無的な“末期の眼”;遠藤周作・“ウソつき”と敬けんな信者;野間宏・神秘な精神の暗部;阿川弘之・海軍好きだが“自己省察”も;瀬戸内晴美・真率な生活体験派;井伏鱒二・故郷が生んだ独特の風格;高橋和巳・硬文学、疎開派のチャンピオン;井上光晴・底に疎外者の心情;三島由紀夫・ことばの魔術師で西洋種の右翼;丹羽文雄・女性を見つめ罪の意識を追究)