目次
金鵄上がって十五銭
たばこ屋の看板娘
スモーカーたちの命運
あの人が愛した紫煙
星の流れに身を占って
煙草の似合う女神たち
アーチストは煙草を愛す
禁じられる文化
シングルのふたり
栴檀は双葉より芳し
奇妙なカップル
ケムリが目にしみる
『銀座カンカン娘』と『東京キッド』
三遍まわってタバコにしょ
わが愛しのスモーカー
わが永遠のグリーン・グラス
著者等紹介
矢崎泰久[ヤザキヤスヒサ]
1933(昭和8年)東京生まれ。早稲田大学中退。編集者・作家・ジャーナリスト。日本経済新聞・内外タイムスの記者を経て、雑誌『話の特集』を発刊。65年12月20日に発売された創刊号以降95年の休刊まで30年間にわたり編集長と社主を務める。プロデューサーとして数多くのテレビや舞台、映画などの制作も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あじ
25
タバコを題材にした短篇アンソロジーではありません。タバコを“切らさない”喫煙交友録です。煙たさに目をパシパシさせながら、不健康さにある種の羨望をもって愉しく読みました。奇しくも本日より【改正健康増進法】施行。◆筆者の名付け親は菊池寛氏。父親は文藝春秋の社員第一号。◆矢崎さん、私は知っています。高峰秀子さんは喫煙者だったか否か。◆『上を向いて歩こう』はあの女学生に捧げた鎮魂歌だったのね…。そしてチェコの女子体操選手ベラ・チャスラフスカは弾圧と苦難の時代を、この歌を口ずさんで再起したと本で読んだ事がある。2020/04/01
hitotak
7
少年期からのヘビースモーカーである著者の、タバコがらみの思い出話と交友録。著者の矢崎氏も90歳に手が届く年齢になっており、ここに書かれている人物たちも永六輔や野坂昭如、内田裕也・樹木希林夫妻など大半が故人だ。彼らと共に紫煙のなかで仕事やギャンブルに勤しんでいた破天荒な日々は、かつての時代の抜け穴だらけの寛容さが懐かしく感じられて面白い。表紙や本文中で紹介されている有名人たちがタバコをくゆらす姿も、最近ではめったに見られないせいもあってかインパクトがあり、素直にカッコいいなあと感じる。2020/10/19
まんだよつお
5
ぼくがタバコをやめたのは10年くらい前のこと。風邪で咳が止まらず一時的にやめたところ、そのまま自然とタバコ離れ。本書は『話の特集』編集長にしてイベントプロデューサー矢崎さんのタバコをめぐる交遊録。登場する梁山泊の百八将のごとき昭和の文化人たちが凄い。写真に写るタバコをくゆらす姿のカッコよさ。彼らの多くはすでにこの世を去り、そういう意味でもタバコは昭和とともにその存在意味を失った文化なのかもしれない。「売っている以上は、喫煙者にも(吸うことを)保証される資格がある」と、官民挙げての禁煙ファシズムを憂う。2020/08/31
ごーちゃん
2
稀代のタバコ好きな著者と著名人、文化人やスターとのタバコを交えたエピソード、時に世間を騒がせた裏話に感心する。著者は下戸だがその分、酒の席で同席した相手のエピソードに記憶が明るい。昨今の分煙、禁煙、そして嫌煙が進み切った世間にも吠える。「タバコは文化」大いに納得できる。だがそういった前時代に戻るようなことはないだろう。著者に肯定的な私もまた現代の価値観に合わせると前時代的な人間と自覚しながら生きてくのだろう。一冊の構成としては重複する話もあるが著者の伝えたいこととして尊重したい。面白いかどうかは別の話。2023/09/23
ピエロの涙
1
著者の最新作を読みたくなって、2020年出版されて2022年に他界しています。私にとって、兎に角、満足な読書感に浸っています。2024/12/27