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内容説明
クロアチアの女性作家が描くポスト・コミュニズムの東欧世界。東欧革命後のソフィア、ブカレスト、ブダペスト、ベオグラード、ザグレブなどの各都市や日常生活を題材に、揺れ動く現在を鋭い観察眼で捉える。旧ユーゴ、ボスニア紛争を経て、東欧地域はかつていかなる状況だったか、いまどんな状況下にあるか、そして今後どう進んでいくのか。セミ・ドキュメンタリータッチの文学的考察集。
目次
イントロダクション―一人称複数形
カフェ・ヨーロッパ
わたしたちの間の見えない壁
モスクワに行かなった理由
ゾエのバスルームで
持っているということ、持っていないということ
ソフィアの微笑み
トーチカ効果
お金を手に入れる方法
バーゲンの厄介〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
65
クロアチアの作家による共産圏崩壊後のバルカン諸国の点描。語られるのはトイレや虫歯のことなどで、そこから露わになるのは「わたしたち」が未だ「わたしたち」として暮しているということ。自分を個人として捉えない文化が齎した虫歯の放置や全て共有だった時代の遺産の汚い公衆トイレはその象徴で、民主主義は「今のところはただの夢」だと作者は言う。その実現には、生活の中で各自が責任を果たすこと、また「誰か」ではなく自分が造り出すものという意識が必要なのだという作者の言葉は、こちらにも「民主主義」を再思させる力がありました。2023/08/11
麺
1
1949年生まれのクロアチア人である著者が、実体験を元にポスト共産主義の東欧各地を描き出すルポルタージュ。チトーの時代からボスニア内戦にいたるまで、体制の馬鹿らしさや貧しさ、非民主主義的なメンタリティ、その他題材はとても暗いけれど、軽快な文体で面白く読めた。2018/07/22
井谷善惠
0
ヨーロッパの退廃が行間から伝わってきます。2013/12/02
Gasse
0
ポスト共産主義症候群について。 自己否定・過去の否定にとどまらない洞察。 読み進むほどに重く、凄みを増すペンの切れ味。2010/04/26