内容説明
小肥りの身体をフロックコートに包み、時には羽織袴で現われて、つとめる高座は驚くほど達者なべらんめえ調―ヘンリー・ジェームス・ブラックはオーストラリア生まれのイギリス育ち、幕末に来日して新聞事業を営んでいた父のもとへ八歳のときにやってきた。のちに日本人女性と結婚、帰化して本名を石井貌刺屈と名乗り、明治の二十年代から大正のはじまりにかけて寄席で人気を呼んだが、晩年は不遇のうちに関東大震災の直後に死んだ。文明開化を象徴するような“青い目の落語家”の波乱に満ちた生涯を活写する決定版評伝。
目次
序章 べらんめえ口調の自叙伝
第1章 父ジョン・レディ・ブラックの周辺
第2章 快楽亭ブラック誕生
第3章 明治落語界の人気をさらう
第4章 文明開化のエンターティナー
終章 黄昏の老ブラック
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵具巻
2
文京区立根津図書館で借りました。2017/07/27
amabiko
1
ブラックの生涯の概略を掴むために読む。 読みやすい筆致だが、奇術に関する記載には誤りが目立つ。p77「ブラックには(略)旭万丸などの奇術の弟子がおり」(←アサヒマンマルはブラックより早い時期に高座デビュー)、p194「ホスコ(略)松旭斎貞一(天勝の師匠)に入門」(←貞一でなく天一)、p249「本所被服廠跡(略)帰天斎正一(手品)(略)焼死体で発見された」(←おそらく正一ではなく小正一)など。 想像で筆を進めた部分も多く注意が必要。2020/06/11