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内容説明
東欧の最奥に生まれたSF。ブルガリアは黒海の西岸に面するバルカンの国。ヨーロッパ中央に遠く、多民族が興亡し、東西の文化が衝突・融合、政治的にも揺り動かされた。そんな国に生まれたちょっと違った味わいのSF小説集!表題作は、ソフィアで開かれた世界SF作家会議に出席したブルガリア人、アメリカ人、日本人、「第三世界」人の四人が、ホテルのバーで偶然同じテーブルに座ることになったのを機に、同じテーマで、一晩ごとに創作を発表することになった。テーマに選ばれたのはイースター島のモアイ像、一番手はアメリカ人ということになったのだが…。他に、宇宙船に乗り込んできた不思議な美女をめぐる騒動『麗しのエレナ』、何世紀もかけて地球に帰ってきた宇宙飛行士が、かつての恋人に出会う『二重星』、そしてスヴェトスラフ・ストラチェフの『呼びかけの声』を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
71
ブルガリアのSF作家による短編集。「麗しのエレナ」は全裸で100年間も宇宙を漂流してきたエレナに『宇宙バンパイア』みたいなものかなと思っていたら服という「身体」を規定するものに入れた途端に実態がなくなってしまうのにショックを受けてしまって・・・。この場面に蝶が蛹になっている時の内部は溶けていることや今昔物語の鬼から下賜された女を愛欲の為に抱きすくめた途端に水になった話を思い出してしまいました。「二重星」はSFではクローンや身代わりを悲劇と捉えるのにこちらでは真逆なのが興味深かったです。2016/09/14
きゅー
11
ブルガリアのSF作家2人の作品が収録されている。二人とも1920年代の生まれだから小道具が古臭く感じられるのは仕方がない。逆に、そうした部分を楽しんで読むのがいいかも。「麗しのエレナ」と「緑色の耳」には日本人が登場する。さすがにハラキリはしないが、典型的な日本人像が描かれており、そうしたディテールも楽しみの一つだった。新鮮さと古臭さを共存させたような独特なストーリー展開だった。直球勝負ではないところに東欧文学の伝統を感じる。2012/03/09
nukuteomika
1
全体に、正統派SFながらオチをちょっとひねってあって好き。2010/07/05