内容説明
民族と宗教が混在すると戦乱は避けられないのか。混迷の現在を見据えつつムスリム、セルビア人グロアチア人共住の歴史をたどり紛争の起源を探る本邦初のボスニア通史。
目次
第1章 誤解された社会
第2章 中世ボスニアの宗教的寛容
第3章 オスマン朝支配下のボスニア
第4章 前近代の遺産と現代
第5章 近代前夜のボスニア
第6章 オーストリア=ハンガリー支配
第7章 王政ユーゴスラヴィア
第8章 第二次世界大戦期のボスニア
第9章 社会主義ユーゴスラヴィア
第10章 ユーゴスラヴィアの黄昏
第11章 ボスニア紛争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たんさん
1
日本に住んでいるとあまり馴染みのないバルカン半島の歴史です。 学校の授業で「バルカン半島=ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれていた程度の記憶しか無い状態で読み始めました。 多民族国家として、アメリカに先んじて文化を形成してきた国であるボスニアに、ボーダレス化する現代人は学ぶことが多いのではないかと思いました。 ただ、自分にとっては内容が難しく、正しい理解が難しかったため、この他にも何冊か読む必要がありそうです…2018/03/09
ふぁきべ
1
ネットで安く売っていたのでなんとなく手に取った一冊だったけど、非常に参考になった。この本を読む前は、テレビなどの報道によって、ボスニア・ヘルツェゴビナ=イスラームだと思っていたので、元代表監督のオシムはボスニア出身だけど、どの民族なんだろう?とか思っていたりしたのだが、ボスニアは二(三)民族によって構成される多民族国家であり、旧ユーゴ構成国は必ずしも多数派民族を抱えているとは限らないということを知ることができた。ユーゴ紛争の本は何冊か出ているが、この本はより基本的な知識を身に付けるに適した本だと思う。2013/06/04
ちあき
1
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの通史。バルカン史やユーゴスラビア史の一部という扱いではなく、長きにわたって一体性を保った地域の歴史書として編まれているところ、他民族の共存こそがこの地域を特徴づけているのだという主張の説得力に感銘を受けた。「そうなのか!」と思わせる箇所が多数あり読みすすむのに苦を感じない前半部に対し、後半部はやや読むのがつらい。だがそれは必ずしも筆者だけの責任ではなく、現地でおきていた事態の陰惨さ、内戦の終結までを書ききれない段階で刊行されたことも大きいのだと思う。2010/02/26
俊太郎
0
ボスニアの統計によく出てくるムスリム人ってなんぞ、というような疑問もスッキリする。表紙や書名から想像するより読みやすくわかりやすい。著者の視点は基本的にムスリム寄りで民族主義者嫌悪が色濃いが、訳者後書きでそのあたりについて指摘があり、後書きも必読。2018/04/24