内容説明
双葉山とともに“無敵将軍”とうたわれた木村十四世名人が、自ら筆を執って名人戦を回想し、さらに時間制が導入されたあとの苦労、長考の内容についてなど、勝負の世界の背景を率直に語っていく。とりわけ坂田三吉翁との対戦を述べたくだりや、大山、升田両挑戦者を退けた名人戦の自戦記は貴重で、将棋ファンにはまさに興味の尽きない書である。
目次
名人位を落ちた前後
私の棋歴
名人戦の回想
坂田三吉翁との一戦
長考の内容
時間制の話
時間の使い方
将棋は総合の戦い
運の問題
謀略、苦手、睡眠、貫禄〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
54
木村十四世名人による、1951年初刊の本を、1995年に再刊したもの。前半の勝負に関する諸々の、話題は非常に面白い。勝敗は技術・体力・精神力の総合力で決まるとある。また「王将戦で一生忘れない痛恨事があった」と書いているが、升田に差込されたことは未記入。一方、後半の第九期名人戦の大山戦、第十期名人戦の升田戦の自戦解説は、長すぎるし、非常に退屈。木村名人は着実で手堅い棋風の受け将棋だったので、妙手・好手の類がほとんどないのが、辛い。升田・大山の全盛期の、個性的な手の応酬と比較すると、物足りなく感じてしまう。2021/11/23
川野隆昭
0
#1827-23-652020/02/14