東欧の文学<br> ボスニア物語 (第2版)

東欧の文学
ボスニア物語 (第2版)

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  • サイズ A5判/ページ数 381p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784770402219
  • NDC分類 989.23
  • Cコード C1397

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

74
19世紀初頭、オスマン帝国と欧州、またナポレオン戦役による欧州内の対立の影響が堆積するボスニアにフランス領事が着任するところから物語が始まります。語られるのはトルコの太守と仏墺両領事の、世界情勢や文化の違いを受けた対立や嫌悪、協調、紐帯、また東西世界の間隙でどちらからも粉砕される人々の生活。本書はそんな世界や、革命やナポレオン戦争の熱狂と混乱の中で「正道」を求める人々の物語でもあり、究極には文化的差異や思想による闘争は「自ら調和する」という、迷い苦悩する彼らに託して語られる作者の理想が深く胸に残りました。2025/04/16

em

17
1807年~オスマン帝国ボスニア州の首府トラヴニク。フランス、オーストリア=ハンガリー帝国領事館、トルコ太守館のメンバーと現地人たち。この時代・地域設定が持つ意味深さに、また一つ無知を知る思いでした。数多い登場人物が実に丹念に描かれ、辺地で複雑に絡み合う宗教、民族、ナポレオンが席巻中のヨーロッパ情勢、東欧ボスニアの運命が浮かび上がってきます。読む者に何かを突きつけてくるような、重厚な物語。「自国の歴史の主題と運命を叙述し得た彼の叙事詩的力量にたいして」というノーベル文学賞受賞理由も頷けます。2017/09/21

春ドーナツ

12
イタリアから見ると、アドリア海を挟んで対岸にあるバルカン半島の北西部にボスニアはあります。本書は19世紀初頭(と言えばナポレオンですね)の同地域の或る集落を舞台とした物語。「第一村人発見!」みたいに、新たな人物が登場するたび、その人の人生の縮図みたいなものがスケッチされていきます。地政学的に複雑な場所なので(それに輪をかけて当時はトルコの支配下)、バラエティに富んでいる。卒業アルバムをめくるように読んでいたと思う。うまく言語化できないけれど、「東欧」の何とも言えない「独特さ」を深く味わうことができました。2017/10/21

てれまこし

9
ナポレオン期に欧州とアジアをつなぐ新通商路の要衝として湿気の多い峡谷の田舎町トラヴニクに大国が注目する(原題を直訳すると恐らく『トラヴニク年代記』)。まず仏が、それに対抗して墺が領事館を開く。変化を厭い外国人嫌いの地元民は敵意をもって彼らを迎える。面白いのは、著者はボスニア人で本書もセルビア・クロアチア語で書かれてるのに、地元民ではなく主に仏総領事の視点から描かれてる。調べてみたら著者はカトリックでザグレブの大学で学んでる。トルコ人やムスリムのボスニア人有力者たちとは違って西欧に自分を同一化してたようだ。2025/05/19

twinsun

8
ダビーユ:平凡で真面目な男 ダビーユ夫人:優しい家庭的な女性 デフォッセ:好奇心旺盛な若者 フォン・ミッテルエル:疲れた冒険家 アンア・マリア(フォン・ミッテルエル夫人):奔放な夢見る女 アガサ:フォン・ミッテルエルの地味で繊細で静かな生活と自然を愛する両親思いの引っ込み思案な女性 フォン・パウリッヒ:有能で機械的な男 国境地帯で滅びゆく帝国の歴史を家庭の窓から眺めているような2012/11/18

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