内容説明
水圏生態系内への光の透過は水中での吸収と散乱に大きく影響される。したがって、水中での光の強さと色調は水深とともに大きく違ってくる。このことは、生態系内に生息する植物の生産性と種組成に大きな影響を及ぼす。この本は、水圏生態系内での光の役割について、総合的にかつ関連分野までも含めて著したものである。すなわち、水中での光の伝達の物理的側面から、水中の光環境に依存する光合成の生化学と生理学までを含む。水圏における光合成と生産に関わる研究者の方には是非とも読んで戴きたいものであり、植物生理学、湖沼学、海洋学の分野の研究者をめざす学生の皆さんにとっても非常に重要な情報を提供するものである。
目次
第1部 水中での光の挙動(水中光学の概念;太陽放射;水中内での光の吸収;水中内での光の散乱;水中の光場の特徴;水中での光の性質;水圏環境のリモート・センシング)
第2部 水圏環境における光合成(水生植物の光合成器官;水生植物による光獲得能;入射光の関数としての光合成;水圏環境における光合成;生態学的戦略)
著者等紹介
山本民次[ヤマモトタミジ]
1955年名古屋市生。1978年広島大学水畜産学部水産学科卒業。1983年東北大学大学院農学研究課博士課程修了、農学博士。現在、広島大学大学院生物圏科学研究科助教授
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