内容説明
ロシア研究の第一人者が遺したプーチン論の決定版!「勝利をもたらす小さな戦争」の愛好者、その闘争哲学を人間学的アプローチで読み解く。
目次
はじめに プーチンを知る必要性
第1章 背景―日本とは対照的な地勢的環境
第2章 性格―自由を求め、かつ混沌を嫌う二面性
第3章 政治―「力は正義なり」が中央集権化を生む
第4章 外交―強い国にも強気、弱い国にも強気
第5章 軍事―不安ゆえの「過剰防衛」癖
第6章 交渉―交渉は闘争の手段
第7章 連続―体制変化で「新しい人間」は必ずしも生まれず
第8章 労働―資源依存症で働くことは大嫌い
第9章 技術―外国からの拝借思想の限界
第10章 社会―奇妙な結託、プーチンと国民は共犯者
おわりに 人間学的アプローチを超えて
著者等紹介
木村汎[キムラヒロシ]
1936年生まれ。京都大学法学部卒。米コロンビア大学Ph.D.取得。北海道大学スラブ研究センター、国際日本文化研究センター、拓殖大学教授を経て、北海道大学および国際日本文化研究センター名誉教授。『遠い隣国―ロシアと日本』(世界思想社、2002年)で第14回アジア・太平洋賞大賞を受賞。第32回正論大賞受賞。2019年11月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AICHAN
43
図書館本。著者の木村汎氏は北大のスラブ研究センターで教授をしていた。そのころ取材をしたことがある。向こうも覚えていないだろうが、私もよく覚えていない。何しろベルリンの壁が崩壊した30年以上も昔のことだ。帝政時代、ソ連時代、プーチン時代。この3つは連続しているという。強力なトップがいて弱い民衆がいる。トップのやることに民衆は関心を持たない。トップになり得るのは力の強い者であり、そのためプーチンは柔道を学びKGBに入りエリツィンに師事した。プーチンはソ連崩壊で東・中欧諸国を失ったことを屈辱だったと考えている。2022/04/17
もちもち
2
プーチンというよりはロシア人の国民性について分析した本 資源が豊富な国の国民は往々にして労働は嫌いで怠け癖があるんだな〜と2020/12/03
Lilas
1
ウクライナ戦争に対するロシア国民の反応がよく理解できなかったがこの本を読んで得心がいった。ロシアの外交姿勢についても同様。私がうけてきた昭和の教育は人はみな平等であるべき、正義が勝つという欧米的、キリスト教的なものだけれど、この教育はまずかった...現在の教育はどうなっているのやら。優しく穏やかな日本人で大丈夫なのか、非常に不安です。 2023/12/31
じろう
1
出版社が産経ということで割り引いたほうがいいと思ったが、最近のロシアの姿勢を見ればほとんど著者が正しいと思う。今回の住民投票併合もロシアの歴史的常習手段。信憑性など何一つない。交渉にあたってもギブアンドテイクという概念はロシアにない。絶対に勝てそうもない状況に追い込まれない限り妥協しない。ロシアウクライナ戦争の未来は決して明るくはない。2022/10/03
ぱんくずさん。
1
恥ずかしながら、ロシアの歴史的な背景等がわからずウクライナ侵攻が始まった時も、疑問符が浮かび続けていたのですが 本書を読んで、もやもやが晴れました。全てのロシア人がそう思っていると言う大きい主語にしてしまうのはよくはないのですが、大多数のロシア人がこういう性質にあるという人間の行動心理を踏まえて読むととても勉強になります。2022/08/12
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