内容説明
初代天皇のことを知っていますか。「神武東征」は日本の始まりです。実際に歩いてみると、記紀に盛られていない伝承、歴史が無数にあることがすぐにわかった。
目次
日本の始まりは、神武天皇と東征と即位にある
イハレビコ誕生―大和に向かうまで四十五年間を過ごした日向伝承の数々
大和思慕―国造りの思いを胸に遠く大和を目指して船旅が始まった
御船出―住民の窮状を聞き稲作を広め道々で協力者を得ていく
海道回顧(上)―海道を整備しつつ出雲勢力をも意識中国山地に遠征も
海道回顧(下)―経済力と軍備を備え満を持して正念場、畿内へ
浪速の海―生駒越えで初めての敗退長兄を失い、失意のなか南に迂回する
紀和の道―天つ神の御子として八咫烏に導かれて熊野の山を越えていく
大和平定―地元の抵抗勢力さらに宿敵を破り美地・大和で初代天皇に
立后と崩御―初代皇后は出雲の神に愛された娘国造りも順調に
多(当)芸志美美命の変―異母兄の野望を打ち砕いた二代天皇の勇気と徳
歌の力・託される思い―戦意高揚あり勝利の宴会敵あり求婚の歌あり
偉業を支えた脇役たち―東征を手助けしその後の国造りに尽力した忠臣、兄らの貢献度
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこ
12
古事記などの伝承による神武天皇東征の足跡をたどる一冊。神武天皇については没年齢などからとうてい実在の人物とは考えにくく、業績についても複数の人物を一人にまとめたものかと思っていたが、これほど多くの史跡が東征の道筋に沿って残っているものとは思わなかった。少なくともモデルになった人物は実在したのだろう。2019/04/23
新父帰る
5
産経新聞の取材班が1年掛けて神武天皇の東征ルートに残る伝承や歴史を丁寧に発掘。日向から大和に至る16年間の長旅を現代に蘇らせた傑作品だ。記紀は勿論のこと、巡り行く地元の神社、市町村役場、博物館等の関係者に直接取材したり、大学の学者の見解を聞いたりとフィールドワークをベースに地道な取材努力には敬服する。小生は元々神武天皇の存在を信じていたものであるが、この書に依って益々その確信を強くしたというのが実感だ。この書にはたくさんの神社が当然紹介されている。記紀と併せて読めば一層理解が進むのではないかと思う。2019/08/16
hyena_no_papa
3
Xで見かけたので図書館から借りてきて読む。タイトル中の「存在」に違和感。特定の人物の存否を言うならば「実在」の語を用いるべきでは?と初めは思ったのだが、読み進めて納得。このタイトルが不当というわけではないが、内容をより噛み砕いてみるならば、「神武天皇は神話と伝承の中にたしかに存在した」或いは「神武天皇の神話と伝承はたしかに存在した」とする方が相応しいかも。書名に「実在」の文字を用いれば、恐らく古色蒼然とした〝神武天皇実在論〟に直結するとの懸念が編集部にあったか?続編『神武天皇はどこから来たか』を期待!2023/12/02
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