内容説明
彼らは、あの時代を積極的に語ろうとはしない。語られるのは中途半端な武勇伝だけであり、「そういう時代だった」と簡単に片付ける人もいる。そして、私たちの「隣人」としてごく普通の生活を送っている。彼らの存在はわが国にどのような功罪を与えたのか。そもそも50年前、キャンパスで何が起きたのか?
目次
第1章 隣の全共闘(闘士たちの同窓会;秋田明大は瀬戸内の小島にいた ほか)
第2章 バリケードの外から(機動隊員が見た許せぬ光景;佐々淳行を感動させたアジ演説 ほか)
第3章 全共闘を解剖する(東大 立花ゼミが追究する全共闘;闘争の舞台はネットへ ほか)
第4章 キャンパスの過去と現在を結ぶ点と線(宙に浮く億単位の学友会費;京大熊野寮に監視カメラ ほか)
“女王”の総括 重信房子・メイインタビュー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
43
「全共闘」と胸を張る世代(というか、そう言う個人)に対してずっと嫌悪感を抱いている。結局、やりたい放題やって、大学進学者が圧倒的多数であった時代に大学を出て、社会の中で選民的な立場を保持し、そのくせ左派政党に投票して、その原動力となる。戦前の日本から価値転換した戦後の価値観混乱の犠牲者といいながら無責任さに納得がいかない。そして定年後再び「老人票」を活用して若い世代のための国よりも、自分たちの安寧を求めている。読後もそんな評価はほとんど変わらないが、「総括」を試みた幾人かの活動家の心意気には感じる。2021/09/25
roatsu
25
全共闘の実相をいわゆるバリケードの内と外、その前後の世代の声を拾い集め「総括」を促す力作。個人的には日本の汚点であり、嫌悪と侮蔑の対象でしかない騒動だがそれは読後も些かも変わらず。戦後平和ボケ社会における構造的甘えと甘やかし、度し難い無知と軽率、自己陶酔と思い上がり、自己顕示欲と付和雷同、そして何より借り物のちんけな思想のために秩序を乱し他人を殺傷する野蛮な暴力衝動が凝り固まるとかかる愚劣な騒動と化すということ。彼らの幼少期における誇りなき惨めな敗戦国としての日本の精神的荒廃も大きく影響しているだろうが。2019/05/02
テツ
10
親の脛を齧りながら大学に通うようなボンボンのくせに勘違いして薄っぺらい思想を語り、社会やら政治やらを破壊して創り変えようと試みたという(薬物でもキメてたの?)とんでもないアホがいた時代。個人的には凄まじい嫌悪感しか抱けない方々だけれど、改めて当時の様子やその後の生き方を眺めてみても何一つ見直せる部分が存在せず逆に凄いなあと感心する。自分たちにはひたすら甘く反省など全くしないくせに、ただただ国家体制への批判(とテロ行為)を繰り返すというどうしようもなさ。過去の遺物として学び決して繰り返してはならない。2022/09/20
もちもち
3
学生運動が盛んだった時代には生まれてすらなかったが学生運動に興味があったので読んでみた。 大学に進学にするということ自体が裕福な家庭に育った者にしかできない時代に、働いたことすらない親の脛かじりの身分で国や世界を変えようとすること時代が無謀だと感じた。2020/11/20
チンタポンタ
2
全共闘世代・教授・機動隊や平成の活動家まで幅広い視点や意見があって面白かった。 全共闘OBの同窓会まで取材していて笑ったが、その時の参加者の薄っぺらいマイクパフォーマンスが総括を表しているような気がする。 個人的には、第4章の学友会・学生自治会について解説が少ないので物足りない。2019/04/11




