内容説明
太平洋戦争中盤から受け身の戦い、対抗する航空戦の中で日本軍の人機はいかに行動したのか。一局面での個人あるいは少人数の行動や思考、判断、感想、背景を細かに表現し、不退転の姿勢をたもち続けた軍航空の人々、優秀機を生み出す労苦に挑んだ技術者たちの姿をつづる。第一線の人々と航空機の奮闘を描く九篇。
目次
ラバウル、フィリピンで難敵を撃墜―初めて語った戦中派コンバット・キャリア
二級戦場はP‐40Nが主敵―華南・海南島から零戦が突っこんだ
遠藤分隊長の実像―著名搭乗員はいかに戦ったか
多機種を操縦した予学搭乗員―十三期ではトップクラスのバラエティ
「震電」の周辺―前翼型戦闘機に欠かせざる追録
夜空の関門、夜空の東京―B‐29が来襲した全期間を継続出撃
重爆教官から邀撃指揮官へ―コース変更者は激戦を飛んだ
最後の制式重爆 評価と塗色の変化―名機と呼ばれ、苦戦にもまれる
陸軍双発練習機の知られざる実績―これこそ埋もれた傑作機
著者等紹介
渡辺洋二[ワタナベヨウジ]
昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
16
歴史とはその構成単位を担った個々人の無二の体験の膨大な集積だとしみじみ思う、先次大戦の我が陸海軍航空戦記集。零戦のエース・杉野計雄さんの戦歴に始まり、近年十和田湖底で不時着機がほぼ完全な形で発見、引き揚げられたニュースで名高い一式双発高等練習機の戦いまで、豊富な取材と資料読込に裏打ちされた緻密な筆致が改めて我が国がいかに戦ったのかを浮かび上がらせる。海軍の夜戦乗りでB29撃墜王として名高い遠藤幸男大尉の作為された英雄像ではなく一隊員、一個人としての素顔に迫る一編は興味深い。昭和19年2月、海南島駐留の零戦2023/07/14
大森黃馨
8
つくづく思うのは著者の渡辺洋二氏は一体これまでどれだけの方々に取材をされてきたのだろうという事まさにスペシャリスト畏怖を覚えるとても真似の出来ないしようがない偉大なる業績とその成果たる著述群 所で幼い子供にはディズニーやカービィ等も悪くはないだろうがやはり男は一発外に出たら七人は敵がいるものそれらに負けない覇気を養うためにもこうした戦記等にも親しませておくべきなのかもしれないと愚考する 2023/08/26