内容説明
二つの国にかける橋―諜報の闇と外交の光の世界を行き交った男。近衛文麿の特使として、日本と中国の間に和平交渉の橋をかけようと尽瘁した風雲児が語る衝撃の秘史!
目次
三重スパイ支那屋
謀略の街
血だらけの札束
歴史は夜つくられる
抗日モッブのデモ
悪徳の都
裏から見た国際スパイ
上海地下政府
お前は死刑だ
決死、江岸の敵に迫る
その条件は酷だ
乱れ飛ぶ偽装情報
密使、敵陣へ赴く
夜の市長の正体
蠢動する影なき男
前進する和平運動
最後の切り札
龍のヘソ
著者等紹介
吉田東祐[ヨシダトウスケ]
本名・鹿島宗二郎。明治37年、東京に生まれる。昭和2年、商大(現・一橋大)卒。同11年、渡華。上海申報社論説委員長。近衛公の密使として抗日地区に入り、和平交渉にあたる。戦後、愛知大学理事、国士舘大学教授を歴任。昭和55年、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
6
元左翼活動家だった著者が、訳あって日中間の和平工作に従事した記録。軍人や外交官ではない著者の名前はあまり有名ではなく、その存在も知られていない。動乱の中国、とりわけ上海でかつどうする著者は日中様々な立場の人々と知り合い、やがて戦争終結のために奔走することになる。叙述は自慢話めいたところが少なく、こうした手記類を記した人物としては好感が持てる。しかし、残念ながらこの手記を裏付ける別の史料がとぼしく、どこまで信じていいのかわからない。ひとつの読み物として読むのがいいだろう2022/05/26