内容説明
撃墜王・杉田庄一兵曹の列機として研鑽を重ね抜群の空戦技術を修得し、菅野直大尉のもとで腕を磨き、絶体絶命の危難に際しても諦めず、愛機「零戦」「紫電」「紫電改」と共に数々の空戦場裡を戦い抜いた搭乗員魂。「ニッコリ笑へば必ず墜す」と刺繍された紫のマフラーを巻いて勇躍出撃した戦闘機パイロットの一代記。
目次
序章 昭和十九年七月二十一日一〇三〇
第1章 予科練・飛練時代(「これからの戦争は飛行機や!」;難関「予科練」を受験、合格 ほか)
第2章 太平洋の激闘(二六三航空隊「豹」戦闘機隊配属;洋上飛行で南方へ―「地球は丸かった」 ほか)
第3章 本土防空戦(三四三空編成、制空権奪還目指す;最新鋭機「おう、これが紫電改か」 ほか)
第4章 戦後の日々(「日本が戦争に負けた?」;復員―「智一の幽霊がでた」 ほか)
著者等紹介
笠井智一[カサイトモカズ]
元海軍戦闘機搭乗員、最終階級は上等飛行兵曹。大正15(1926)年3月生まれ。兵庫県出身。昭和17年4月、第十期甲種飛行予科練習生として海軍に入隊。昭和18年11月、海軍第一航空艦隊第二六三海軍航空隊配属。昭和19年12月、第三四三海軍航空隊戦闘三〇一飛行隊配属。大戦後半を戦い、協同撃墜10機を記録し終戦を迎える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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廊下とんび
10
長身の割に童顔という印象を持っていた人だけど終戦時19歳とは驚いた。選りすぐりの戦闘機乗りを集めた三四三空の人たちも二十代前半の人たちばかりだったのだな。子供の頃、漫画(紫電改の鷹)に胸躍らせたものだけど https://www2.nhk.or.jp/archives/shogenarchives/shogen/movie.cgi?das_id=D0001130153_000002021/04/25
中将(予備役)
3
先日亡くなられた笠井氏の冥福を祈って。負け続けている局面でのパイロットの生活や当時十代だった一下士官の考えたことが分かって興味深かった。菅野直や杉田庄一も頼れる上司として出てくる。敵機の死角を狙ったり、肉薄して撃っては離脱するのを繰り返したり、編隊を組んで一番機からの電話での指示を元に向かっていったり、こんな風に戦っていたのか、というのが分かった。戦死の記述は悲しかった。聞き書きの形ではあるが、最近になってこの本を出してくれたのはありがたい。現代になって語る思いもしかと受け止めたい。2021/01/23
もちもち
2
著者の訃報をネットニュースで目にしたため、積んであったこちらの本を読むことに。 菅野さんや杉田さんなどの操縦の腕も良く人格も素晴らしい戦友が次々と戦死していくのに胸が痛くなった。 飛行機乗りは優秀な人が多かったから、それだけ良い人材が国から失われたということなんだな…。 著者のご冥福をお祈りします。2021/01/27
うょ
1
菅野大尉に関するエピソードを求めて手に取った。 笠井氏ご本人のお話を元にしているため、特攻などに関してもその頃の情勢を思わせるように淡々としている。 菅野大尉や杉田兵曹などの語り口が活き活きとしており良い。予科練時代は特にやんちゃなエピソードも多く、普通の年相応にふざけたり笑ったりする若者達が命を掛けて奮闘し戦死していったのだと改めて切に感じた。紫電改と初めて対面した際のエピソードは特に心に残った。思想的政治的に偏った見方ではない、当時の戦闘機搭乗員の素直な心情が描かれていると思う。 2022/08/27
Haru
1
笠井氏が亡くなったというニュースを知った。ちょうど「敷島隊の5人」をスタートに、今も旧海軍の航空隊の戦記や操縦士たちの物語を読んでいる。笠井氏の現代でも国を守る気持ちは戦後も変わらなかったぢ、国旗国歌に対する思いも強かった。これを軍国主義の権化とか遺産と呼ぶのはあまりにも単純だ。平和を愛する気持ちは同じだし、むしろ現代人より強かったであろう。こういう方々の生涯を知ることが我々戦争を知らない世代の義務だと思う。2022/03/02