内容説明
未帰還兵に会ってみたら、どうですか。彼らが感じているタイと日本は、タイ人とも、日本人とも違う視点だから―。二〇〇五年秋のことだった。三年に亘る私の未帰還兵を探し求める旅が始まった。「どうして、帰還しなかったのですか」問いの答えは、それぞれだったが、戦争体験もない若造の質問に、だれもが嫌な顔をせず、真っ正面から答えてくれた。
目次
インパール作戦
プロローグ 第二次世界大戦博物館
第1章 帰らなかった三人の日本兵
第2章 ひとりぼっちの菊兵隊
第3章 ウラペと呼ばれた男
第4章 日本兵の遺品
第5章 日本人の血
著者等紹介
将口泰浩[ショウグチヤスヒロ]
1963年、福岡県生まれ。89年、産経新聞社入社。社会部などを経て、社会部編集委員に。2015年、退社(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふたば
6
最悪の愚策と言われるインパール作戦。この本は、その戦いに身を投じることになり、そのまま現地に留まった日本兵、現実の水島上等兵の語る作戦のリアルとその後について。実際に現地に赴き、本人の証言を得た内容は重い。彼らがどうして、留まることを選んだか、留まるつもりで、日本に帰ることになった人物も含めて、多くの水島上等兵が、ひっそりと遠い彼の地で没したのだろう。戦時中の日本兵の持ち物を展示した博物館があるのだという。いつの日か訪ねてみたい。戦争を知らない我々がその記憶を未来につなげる努力をしなければならないだろう。2020/08/01
かに
1
インパール作戦に参加し、英国の捕虜施設から脱走し、ビルマ・タイに残留しそこで生きた人々の人生を追う。 日本軍首脳に人生を左右されながらも懸命に生きた元日本兵の生き様。 なぜ、現地に残り生活することになったのか、なぜ日本に戻らなかったのか。 当時の情勢に左右されながらも必死に生きる。2022/09/09