内容説明
潜水空母や水中高速潜をも生んだ造艦技術の粋、伊号潜水艦。燃料、糧食、水、被服を満載して出撃すれば、艦長以下、一蓮托生の長期「カン詰め」任務となる。隠密行動を旨とし、敵艦撃沈破の戦果をあげた魚雷攻撃、補給輸送等の任務に従事。爆雷攻撃に耐え生還した艦長と乗組員らの手記が、潜水艦生活の全貌を描く。
目次
日本潜水艦戦法の成功と失敗(板倉光馬)
「大和魂」に敗れた伊号潜水艦(折田善次)
わが「ドン亀」にみる艦内特殊事情(板倉光馬)
潜水艦はこのように操縦する(筑土龍男)
造船官がみた驚異の潜水艦事件史(寺田明)
恐怖と戦慄「伊二五潜」初陣の記(中川新一)
追憶の「伊二五潜」アメリカ本土爆撃(藤田信雄)
潜水空母「伊四〇一潜」遂に参戦せず(南部伸清)
私は伊四〇〇潜洋上降伏の立会人だった(名村英俊)
米軍のみた伊四〇〇潜水艦の最後(M・C・ロバーツ)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
18
170「メインタンクブロー!」海の中に潜み敵艦に忍び寄り必殺の魚雷を撃ち込む深海の船乗り達の短編集です。書いてる人たちが艦長から水雷長・機関長・機関科員・飛行長・通信長・砲術長・烹炊員長と色々の立場の人がいるので今まで知らなかった潜水艦の中の生活や乗組員達の人間関係を知ることができました。1ヶ月以上も湿った狭い所で生活するなんて想像もできない、自分なら耐えられないだろう。2019/11/29
植田 和昭
16
伊号潜水艦の活躍を描いた作品。ほとんど戦没しているので戦いの激しさがわかります。トラック島のイ169慰霊にいってみたいなあ。でも歳だからなあ。自信ないなあ。 2018/02/05
植田 和昭
8
再読。前回読んだ特は気が付かなかったが、潜水艦はこのように操縦するの項で伊号潜水艦は潜水時も水上航行時もモーターで航行すると書かれた場面を発見。著者は、帝国海軍の士官でありながら、水上航行時は、ディーゼルで航行することも知らなかったんでしょうか?いくら水雷長でもひどすぎるなあと思いました。またシュノーケルも日常的に使用したように書いてますが、シュノーケルを装備したのはイ400系の艦だけでほとんど使用していません。う~む。遠い島ガダルカナルでもP40のことをP400なんて書いてる。校正をきちんとして欲しい。2024/08/14
俊毅安村
0
潜水艦という過酷な現場で戦った兵士達の記録です。 WW2に実戦参加した船長、乗務していた下士官、潜水艦積載の飛行機のパイロット、技術士官の技術メモなどが詰め込まれており、珠玉の一冊と言えますね。 作戦要務令がポンコツで、命令を出す指令官が潜水艦の用法を全く理解しないまま、不要な犠牲を強いてくる様は、まさに不条理ですが、少ない機会を生かして戦った記録がここにあります。 航海中で、浮上していた潜水艦に、鳥が迷い込んできて、捕獲するも、死地に赴く気持ちから逃してあげた処に、サブマリーナ魂を感じました。2020/01/11