内容説明
昭和十九年六月十六日―ついに米戦略爆撃機B29の日本本土空襲が始まった。インドから中国成都を経由して北九州へ、片道四五〇〇キロを飛来する高性能機に対し、陸軍部隊は旧式機をも総動員して必死の阻止作戦を展開する。乗員たちと寝食を共にし、爆撃機に乗って取材した新聞記者が描く知られざる戦いの記録。
目次
第1章 シエンノート一家の登場(日本本土の初空襲;重慶爆撃にルーズベルト怒る ほか)
第2章 内地空襲防止の一号作戦(在支米空軍、新竹に第一撃;B29の巨大なまぼろし ほか)
第3章 B29戦略爆撃集団、成都に出現(ヒマラヤの大魔鳥;隼部隊、漢口に集結 ほか)
第4章 B29を撃滅せよ(マッターホーン計画;成都―カルカッタのB29基地 ほか)
第5章 B29、マリアナに現わる(第二十一爆撃集団の進出;東京、名古屋、大阪、神戸爆撃シリーズ ほか)
著者等紹介
益井康一[マスイヤスイチ]
1911年、徳島市に生まれる。1932年4月、毎日新聞社入社、東亜部勤務。陸軍報道班員として終戦まで中国に滞在。1951年6月、新設の毎日新聞東京本社編集局ラジオ報道部(のちラジオ・テレビ部と改称)副部長に、1954年8月から1961年2月まで同部長となる。その後、中部本社(名古屋)編集局次長兼報道部長、東京本社編集局次長、西部本社(北九州)編集局長、東京本社編集局顧問その他。1999年12月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
20
昭和46年初版と古いけど、往時の当事者が残した貴重な記録。毎日の報道班員として支那の陸軍作戦を具に見聞し、五航軍始め高級司令部の企図や苦心も知悉する著者ならではの詳細な実情を交えた系統立った作戦顛末を読むことができる。支那の敵航空基地からの本土空襲の危険性、恐るべき性能を持つ戦略爆撃機B29の登場という脅威を受けて現地軍や大本営が如何にこれに対抗したか。大局と個々の戦闘双方を俯瞰できる。戦争といえば太平洋戦線にばかり目が行くが、本来の主敵・主戦場であった支那の実情はもっとよく理解されねばならないだろう。2017/04/08