内容説明
ルソン北部の密林下、生死の境を乗り越えた一日本兵の過酷な戦争。マラリア、アメーバ赤痢が蔓延し、米軍の砲爆撃に晒された山岳地帯で最後まで戦い抜いた兵士の証言。
目次
プロローグ 最後の弔砲
第1章 馬尼刺航空廠への道
第2章 長距離砲の砲声
第3章 密林の中の敗走
第4章 日本軍の降伏
第5章 捕虜収容所
第6章 望郷の日日
エピローグ 懐かしき故郷
感想・レビュー
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roatsu
18
ニューギニア、比島と二度潰滅した陸軍第四航空軍にて主計将校というバックヤードで勤務し、九死に一生を得た著者の比島戦記。泥縄式の戦い方で米軍に勝てるはずもなく決戦の掛け声虚しく戦線は崩壊、ルソンをはじめ各地にて絶望的戦闘を余儀なくされ多くは誰に知られることもなく死んでいった皇軍将兵の実相と声なき声を現代に伝える一冊と思う。文字通り日本陸軍の墓場となった二つの戦場で命を拾って戦記を残し得た幸運に驚くとともに、無為無策の作戦指導と圧倒的不利な戦況下で日々無惨な死へと駆り立てられていった将兵の運命を改めて知る。2016/07/18