内容説明
航空母艦を中心とした機動部隊の登場で、太平洋戦争の様相は劇的に変貌した。艦隊同士の戦闘は戦艦・巡洋艦・駆逐艦・潜水艦のほかに空母の艦上爆撃機と艦上攻撃機も加わり、それまでに見られない激烈なものとなった。本書は実戦を体験した一整備員から司令長官までの生々しい手記と証言を収載。死闘の実態を描く。
目次
空母艦長が綴る「体験的空母論」
日本海軍の空母用兵術
五航戦「翔鶴」と史上初の空母戦
ミッドウェー海戦「飛龍」の奮戦
空母飛行長かく戦えり
軽空母「龍驤」の最期
空母「飛鷹」ガダルカナル沖の悲運
ミッドウェーの仇を討った日本機動部隊
武運艦「瑞鶴」南太平洋の凱歌
小沢機動艦隊の最期
「あ」号作戦の疑問に答える
大鳳と瑞鶴で見たマリアナ沖海戦
空母「飛鷹」マリアナ沖の痛恨
改造空母「沖鷹」八丈島沖合に消ゆ
オトリ艦隊「瑞鳳」比島沖に潰ゆ
巨大空母「信濃」十七時間の生涯
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mikarin
5
太平洋戦争中の海軍空母部隊に関わった各人の回想録集。翻っ21世紀の今日、いつの間にか海上自衛隊にヘリ空母機動部隊が登場しつつある。個人的には、日本に軽空母が登場するのはそう遠くない未来だと考えられる。そうこうするうちに世界第2位の(ヘリor軽)空母保有国になるかと思われるが果たして歴史的な教訓を生かせるか、大いに注目。2015/06/01
スー
4
驚くのは航空機の損耗率の高さと空母の脆弱さだ。アメリカの空母のしぶとさが羨ましい何が違うのか?ダメージコントロールがなっていないのか?構造や材質の問題なのか?構造的には日本の空母は密閉型でアメリカのは開放型と良く聞く。その為大鳳は漏れたガソリンが爆発したった一発の魚雷で呆気なく沈んでしまった。ヨークタウンは攻撃を受け火災を発生させたのに、短時間で消火に成功している。さらに気になるのが日本の戦術だ。肉を切らして骨を断つのはいいが回復力に差があるので肉のつもりが骨になり骨のつもりが皮になってしまう残念だ2015/07/17
夕立改二
2
『「あ」号作戦の疑問に答える』という、小沢治三郎中将に米海軍少将がマリアナ沖海戦について直接に質問し中将がそれに答える記事が興味深かった。これは他の本では見たことがなかった。珊瑚海海戦の成果があなた(小沢中将)に与えた影響は何かという問いに、当時自分はシンガポールにいて珊瑚海海戦に直接関わっていないがと断った上で、「将来の主要な計画に大して影響を与えたとは思ってない」と回答している。ミッドウェー後は明確に作戦計画が困難になり、以降の日本海軍作戦は守勢的な立場に変化する大きな転機だったとも答えられている。2018/05/12