内容説明
戦争になったら金鵄勲章をもらわなければ軍人ではないと思っている者がいる。功名を稼ごうという似非軍人だ。おれたちは手柄を立てるためにここに来たんじゃない―寡黙にして、自らの功を誇ることなく、常に先頭にたって部下を統率した飛行隊長。戦いに強い部隊を作り、その信条に生きた指揮官の生涯を描く。
目次
序章 サイパンの夕焼け
第1章 芦田川の四季(ルーツをたずねて;汐首に遊ぶ少年たち ほか)
第2章 江田島の青春(教育の別天地;「互和」の群像 ほか)
第3章 りんどうの花(航空主兵の胎動;初級士官の周辺 ほか)
第4章 機動部隊、北へ(サイレント・ネイビー;対米開戦前夜 ほか)
第5章 海・空戦の攻防(敵なき江草艦爆隊;MI作戦)
第6章 祖国を後にして(新たな任務を前に;五二一空「鵬部隊」出撃す ほか)
終章 鎮魂への願い
著者等紹介
上原光晴[ウエハラミツハル]
1932年12月、東京・目黒区三田出身。中央大学文学部(仏文課程)卒。朝日新聞社入社。高知支局を振り出しに東京、大阪、西部(北九州市小倉北区)の三本社と各管内の取材部門に勤務。福島県いわき、神奈川県湘南(藤沢)両支局長を歴任。部長職。1992年12月、朝日新聞社を定年退社後、戦史を中心にノンフィクションで取材活動を続行、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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黒瀬
56
ド派手なマーキングを施した九九艦爆の名パイロットとして有名な江草氏の生涯を追った著作。冷静にして寡黙、そしてとにかく温和な性格。だが仕事に対しては徹底して結論を追求し、内に烈々たる闘魂を秘めた典型的な武人。例として、乗機の風防を一杯に開けて座席も高い位置にしたまま仁王立ちのような姿勢をとる事が多かったそうだが、これは風防に付着した傷やゴミを敵艦と誤認しないためという徹底ぶりであった。操縦技術はもちろん、戦術に関しても先見の明があり、彼を慕っていた部下や戦友の記述の多いこと多いこと。2019/12/16
もちもち
7
艦爆の神様という渾名がついているものだから、さぞかし荒くれ者で怖い士官かと思っていたら全くそのようなことはなかった。 むしろ部下に生涯慕われるタイプの上司。 この方ほどの技術を持っていてもレーダーとVT信管の技術には勝てなかったということか2021/12/01