内容説明
1995年3月20日、東京を襲った未知の恐怖。死者12人、重軽傷者5,500人以上を数えた化学兵器テロの現場へ「災害派遣」を命ぜられた連隊長の長い長い一日。猛毒のサリンの潜む地下鉄構内に部下を送り込まねばならなかった指揮官の苦悩、そして最前線の隊員たちの恐怖と苦闘を初めて明かす生々しい証言。
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悪趣味な本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シャル
12
文庫落ちしたので再読。化学兵器による未曾有のテロ事件である地下鉄サリン事件に際して、当時の自衛隊がどう動き、どんな背景で活動していたのかを連隊長であった作者と、それぞれの隊員たちの証言を元に書きだす一冊。目につくのは現場や指揮系統の混乱と情報不足からくる認識の甘さと、それを超えた先の懸命の活動、そして自衛隊員の誇りである。振り返ればあの事件は今まさに起こりうる危機の形でもあり、自衛隊と世間との関わり方にも変化を起こしたといえるだろう。だからこそ、実行されなかった対オウム作戦は成り立ちも含めて重さがある。2015/03/04
sasha
6
1995年3月20日に発生した、オウム真理教による地下鉄サリン事件。その際に出動した自衛隊の指揮官の報告って感じかな。市谷駐屯地の本部で指揮を執っていたので現場の証言はそれぞれの隊員の証言で構成されているので、現場の緊迫感には少々欠けるけれど、同じように地下鉄各駅に出動した警察官・消防庁職員が情報が混乱するなかで必死だったんだよね。あと少し、私が築地にあった事務所を辞めるのが遅かったらこの事件に遭遇していたかもしれないんだよな。2017/03/25
羊山羊
5
地下鉄サリン事件の際の、現場での自衛官たちの奮闘を証言を元に記したノンフィクション。状況も分からない、場合によってはサリンの主犯者たちの奇襲攻撃もある、そんな見えない緊張感の中で、地下鉄に飛び込んだ自衛官たちの勇気は称賛に値する。既知の問題よりも、いかに未知の恐怖や未来の有事に備えるかが大事か、そして、小さなひずみから問題に気づく能力の大切さ、いざ問題が発生した時の即応行動の大切さなどを言外に教えてくれる良著。2018/10/01
リスクマ
5
私がまだ3歳の出来事で、教科書に載っている程度の情報しか持ち合わせていなかったが、やはり現場の生の声というのはリアリティがある。しかし筆者も言っていたが、日本は事件からの教訓も少なく、記憶の風化が早い。2016/03/04
koutenshi_0811
4
ガス対策の為に自衛隊で購入したカナリアの名前が「アサ子」「ショー子」「ガス彦」「サリ太」なのはあんまりじゃないかと思った 2018/10/07