内容説明
昭和十八年八月、ラバウルで編成された四航軍は、ニューギニア、フィリピンと撤退をつづけ、特攻隊員を送り出した軍司令官の台湾脱出の後、昭和二十年二月、解体される―中支那主計下士官候補者隊での教育を経てマニラに赴いた司令部付主計兵が見た四航軍始末記。空に海に陸に散った下級兵士たちの無念を綴る。
目次
プロローグ マニラ初空襲
第1章 新戦場への出征
第2章 バシー海峡の航跡
第3章 第四航空軍司令部
第4章 二人の将軍の真実
第5章 バレテ峠の死闘
第6章 去る者と残される者
第7章 マニラ湾の落陽
エピローグ 生と死の分岐点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
10
東部ニューギニアから比島へと陸軍の文字通り墓場となった場所を任地とし、辛くも生還を得た著者が残す稀有な戦記。第四航空軍はあろうことか司令の富永中将が隷下部隊を見捨てて台湾へ敵前逃亡するという有名な不祥事により解散したが、その顛末も詳しく述べられている。一主計科員としてマニラで勤務する日々と撤退行、自身とともに勤務した多くの戦友や軍属とそれぞれが辿った運命を公式記録と合わせて綴った貴重な一冊。大本営と現地軍間の絶望的な齟齬その他の原因により戦わずして負けていた比島決戦の悲しい実態がありありと分かる。2015/08/23
teitowoaruku
1
軍司令官が真っ先に敵前逃亡してしまうのがなんとも…。「お前たちだけを死なせはしない」そう言いながら、部下を特攻に追いやったり置き去りにした日本軍上層部。部下将兵を愛さず奴隷くらいにしか思っていなかったところが、この軍隊の欠陥であり、ひいては日本人の欠陥といえるのかもしれない。2022/05/22
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