内容説明
第二次大戦下、ドイツ軍とソ連軍の間で繰りひろげられた“クルスクの攻防戦”。史上最大の戦車戦と称される一大決戦の実態とは、いかなるものだったのか―ソ連崩壊時に明かされた新事実に照らし合わせ、戦術、政治、人物、兵器など、さまざまな視点から再評価し、大会戦の全貌に迫る。写真・図表一〇〇点収載。
目次
第1章 一九四三年夏季のドイツ軍の戦略構想と政治情勢
第2章 一九四三年夏季のソ連軍の戦略構想と諜報活動
第3章 クルスク戦直前の両軍の状況
第4章 クルスク戦を指揮した独ソ両軍の主な司令官
第5章 「城塞(ツィタデレ)」作戦の発動七月五日の戦闘
第6章 クルスク突出部への挟撃作戦(七月六日~八日)
第7章 プロホロフカ戦車戦とツィタデレ作戦の中止
第8章 データで読むクルスク戦車戦の実相
著者等紹介
山崎雅弘[ヤマザキマサヒロ]
1967年、大阪生まれ。雑誌編集、ゲーム開発、測量、地図製作業務などを経て、2000年に独立。現在は雑誌『歴史群像』『歴史人』に戦史と紛争史の分析研究記事を寄稿している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
22
139スターリングラードで6軍の降伏で一気に流れは変わったが驕ったソ連は部隊の限界を超えた追撃戦を行った為にマンシュタインによる反撃が成功、マンシュタインは流れを取り戻す為にソ連の突出部を南北から挟撃して壊滅させようと考え最大の戦車戦が行われることになる。ドイツはティーガー・パンター・フェルディナントを投入、ソ連SU122と152のバケモノ戦車と、地雷と対戦車砲で守る重厚な縦深陣地で対抗する。今までドイツ崩壊のきっかけとなる戦いと思ってましたが意外と損害は少なくソ連の方が多かった!とはいえ本来の電撃戦は2019/09/21
代理
2
図版が多くて良かったけど、先にローマン・テッペルの「クルスクの戦い」を読んでしまったので、所々でなんだかなぁという感じ2023/11/29
ジュンジュン
2
独ソ戦の雌雄を決したと言われるクルスク会戦、著者は旧ソ連の公開された資料と最新の研究成果をふまえて、その意義に修正を加える。軍単位は軍団-師団-旅団らしいが、旅団以下まで丁寧に跡づけるのは、敬意に値するが、正直言ってついていけない。重要とはいえ、一局面に400p費やす濃密な内容は、軍事史に詳しくない自分にとって敷居が高すぎたと痛感。2017/11/12
nur1202
2
内容のほとんどが資料的なものなので、アクション小説的な部分はちょっとだけです。 読む人を選ぶ本でしたね。研究者とかヲの人とか向けだったかも。 地図と文章に出てくる地名の対応がもう少しわかりやすかったらなぁと思いました。例えば、文章で出てくる重要な地名については地図でもフォントを変えるとかね。 ま、これもそっち方面の人たちにとっては、明示するまでもなく、地図上でよくわかることなのかもしれませんけど。2015/01/29
ちょえ
2
最新の成果を踏まえアップデートした内容を盛り込んだクルスクの戦いの通史本。開幕経緯としてはマンシュタインの敵に先手を打たせた上で反撃する「後手」案と政治的理由で攻勢を欲するヒトラーとの間で調整に時間がかかったのが実相とのこと。戦闘の推移としても通説では戦術的には引き分け戦略的には大損害を被ったドイツ側の敗北と言われてきたが、実相としては、空軍の支援があり、ティーガー等の優秀な戦車を擁していたドイツ側が圧倒していたことがわかる。丁寧に史実をあとづけることで、通説のイメージを覆す良書。読みやすさも◎。2014/09/19