内容説明
ノルウェーからフランスに到る耐爆コンクリートで固められた1万6000の砲台と60万の防衛軍!地下要塞『強固な陣地壕』の詳細図面と数多くの写真によって明らかにされる、ドイツ軍事建設の恐るべき野望とその崩壊。
目次
第1章 沿岸防衛
第2章 六つの軍事建設組織
第3章 大西洋防壁
第4章 大西洋防壁の背景
第5章 ノルウェーからチャンネル諸島まで
第6章 兵器
第7章 ドーバー海峡砲撃戦
第8章 結末
著者等紹介
広田厚司[ヒロタアツシ]
1939年、北海道に生まれる。明治大学卒業。会社勤務の傍ら、欧州大戦史の研究を行なう。月刊誌「丸」をはじめ各誌に執筆。現在、翻訳家として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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植田 和昭
20
現代版万里の長城、大西洋の壁。その壮大な構想はすごいです。でも全周は守り切れませんよね。でも現代にも残る構築物の数々は、その破壊が極めて難しかったことを物語っています。死ぬまでには、一目見たいものです。2018/12/04
植田 和昭
9
5年ぶりに再読。大西洋沿岸に残る第三帝国の遺物。なかでもカレーの砲台やチャネル諸島の砲台郡は凄いです。あまりの堅固さに破壊を断念したとか。でも硬いところを作れば柔らかいところが攻撃される。この本は、砲台の話が主で一般の壕の解説が少なかったのが残念です。例えばオマハビーチののWN72とか解説も欲しかったです。ノルウエイに残る40.6cm砲台やグナイゼウの28cm砲台は、ぜひ訪れてみたいです。装甲師団の配置問題も少ししか触れられていないのも残念。5個装甲師団が海岸に殺到していたらどうなっていたかも興味深い2023/11/03
植田 和昭
8
再再読。何回読んでも面白いなあ。大西洋岸に壁を築こうとする発想がすごい。数々の巨砲が据え付けられた陣地群。ただ陣地がまばらなとこもあってそこを攻撃されたらおしまいというところが難しいところだ。この要塞の存在意義は、大西洋防壁の墓碑銘「守るだけでは勝てない」の一言に凝縮されている気がする。しかし、戦後も強靭なゆえに残り続けるコンクリートの建物群。ノルマンディのオマハ海岸は、ぜひ行ってみたいものだ。WN62などの小さい陣地については殆ど記述がなかったのが残念。リンデマン砲台ってすごいなあ。日本にはないよなあ。2024/07/15
じゅん
1
第二次世界大戦において、ヨーロッパを席巻したドイツは、連合国側からの反撃に備えるため、大量の資材を用いて壁を築き、巨大な大砲を据付けた。そんな大西洋防壁についてのお話。映画「プライベートライアン」で米兵を迎え撃っていたような要塞のみではなく、人が一人入れるようなコンクリート製の「トブルク陣地」などさまざまな防御施設が建築されていたことがわかる。しかし、どれだけお金と資材をつぎ込んでも防御施設であることに変わりは無い。フリードリヒ2世の言葉、「防衛することだけでは何も益が無い」を地でいく結果となった。2013/09/02