内容説明
比島エンガノ岬沖海戦、礼号作戦など、熾烈な海戦を戦い抜いて、“幸運艦”と呼ばれながらも、ついには江田島湾にて壮絶な最期を遂げた「大淀」―同期生半数以上が戦没する中、一水兵として、懸命に戦って、奇跡的に生還を果たした海軍特別年少兵一期生が綴る渾身の手記。幻の兵隊・海軍特年兵の真の姿を描く。
目次
山河変わらざれど
海がよんでいる
海兵団
横須賀海軍砲術学校
初陣
トラック泊地の艦隊勤務
「大淀」連合艦隊旗艦となる
比島沖海戦
落陽の艦隊泊地・断腸のレイテ
礼号突入作戦
北号輸送作戦
春おそき故郷・上州
著者等紹介
小淵守男[オブチモリオ]
昭和2年4月13日、群馬県吾妻郡沢田村(現在中之条町)に生まれる。9年4月、沢田村尋常小学校に入学。17年3月、上記国民学校高等科卒業。4月、沢田村青年学校に入学。9月、海軍第一期特年兵として横須賀第二海兵団に入団、四等水兵。11月、階級制度の改制で二等水兵となる。12月、海軍一等水兵。18年11月、海軍上等水兵。19年5月、海軍水兵長。20年5月、海軍二等兵曹。9月、海軍一等兵曹。11月、終戦により復員、沢田村青年学校に復学、22年3月、卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
20
75 14歳8ヶ月から15歳9ヶ月までの子供が入団した海軍特年兵は昭和17~20年までに17000名が入団し一期兵3700名のうち半数が戦死したそうです。筆者は巡洋艦「大淀」に乗艦して小沢艦隊に所属して海戦に参加し激戦を無事に生き延びた貴重な体験談でした。これほど多くの少年が戦争に参加していたとは知らなかった、とても恥ずかしい。2020/05/31
artillery203
2
特年兵の記録としても、大淀の戦記としても、非常に有用な一冊。若くして海軍を志した著者は、若さゆえに真っ直ぐに海軍式に物事に当たっていく。2015/11/22
ひろただでござる
0
今で言う中学三年生から高校一年生の男子が国を背負って戦った。社会経験が少ない分純粋だったのだろう。亡くなった人たちには申し訳ないが生き残ってくれて良かったと心から思う。話は変わるが、全長200m弱、排水量1万トン以上の構造物が40ノット/時(約76km/h)で移動しながら目標に向けて重さ56kgの砲弾を初速920m/secで撃ち出す事ができたというのには驚嘆してしまう。2016/08/13
球
0
特年兵として海軍に志願したところから大淀に配属され、各地で様々な人との出会いややり取り、訓練や輸送作戦、戦闘に従事した内容を事細かに記している一方でレイテ沖海戦ではどのような艦艇が参加していたのか、作戦の成否、艦隊の被害状況などを一兵士として全く知り得なかったことなど、太平洋戦争後半の戦況について非常に読み応えのある一冊だった。2020/05/30
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- 和書
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