内容説明
不沈の潜水艦長として謳われた海の王者―赤貧洗うがごとき家庭に生まれて、画家をこころざした少年時代、躍動する連合艦隊の黒鉄の美しさに魅れられて、海軍兵学校に入校、潜水艦乗りをめざし、己れの信ずるところにしたがって生きた指揮官の青春の奔流を綴る感動の戦記。
目次
第1章 天下の荒道場に学ぶ
第2章 歴史の跡を訪ねて
第3章 霞ヶ浦の空遠く
第4章 わが人生の関頭に立って
第5章 青春の奔流の中で
第6章 “どん亀”乗りひとすじに
第7章 暗き絶望の淵から
第8章 明日なき戦いの海に
第9章 苦難を乗り越えて
著者等紹介
板倉光馬[イタクラミツマ]
大正元年11月、小倉市に生まれる。昭和8年11月、海軍兵学校卒業(61期生)。10年4月任少尉、「扶桑」「最上」「青葉」を歴任。11年12月任中尉、イ68潜乗組。12年12月、「加賀」「如月」「八雲」をへて13年22月任大尉。14年2月第8潜水隊付、同10月イ54潜航海長、同11月水雷学校高等科学生。15年5月ロ34潜航海長。同9月潜水学校乙種学生。同12月イ69潜水雷長。17年11月潜水学校甲種学生。18年3月イ176潜艦長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mikarin
3
前半はかなり破天荒な話。上官を酔っぱらって殴るなど、戦時下であれば、死刑になってもおかしくない話などもまだ平時であったために果たして?といった感じだが、後半の人間魚雷回天部隊の指揮官としての苦悩は注目。2015/12/19
Yasuhisa Ogura
1
著者は、訓練航海中に甲板で酒盛りをして寝てしまったり、酔っぱらって艦長を殴ったり、南雲提督と知らずに宴席に乱入したりとかなり破天荒なタイプ。本書の前半は著者が潜水艦を志望するまでの自伝、後半は潜水艦での戦闘と人間魚雷回天の指揮官としての記録。潜水艦による輸送作戦で届けたサントリーの角の瓶を、補給を受けた司令官が戦後も大切にとっておいた話は、感動的。潜水艦関係の書籍に共通することだが、本書でもレーダー技術の後れが致命的であったということが明らかにされている。2012/11/30