内容説明
西洋人の東洋支配を終わらせる転回点ともなったシンガポール攻略作戦―その立役者・山下奉文将軍の実像にせまる。華やかなる軍歴のみならず、人間としての素行、家族、内面的生活、小さな愛の世界に肉薄し、知られざる山下の素顔を明らかにする感動の人物伝。志なかばで逝った著者が精魂をこめて綴った労作。
目次
序章 夜明け前
第1章 神々の微笑
第2章 稔りなき愛
第3章 人間曼陀羅
第4章 山下擁護論
第5章 揺れる山下
第6章 マレーの虎
終章 悲劇の将軍
著者等紹介
安岡正隆[ヤスオカマサタカ]
大正14年4月2日、高知県香美郡香北町橋川野に生まれる。高知師範学校、法政大学文学部卒、戦中、久留米予備士官学校を出て敗戦を南九州で迎え、復員、陸軍少尉。戦後、教育界に入り、昭和60年、高知県立大栃高等学校長を最後に定年退職し、その年10月、歌誌「南国短歌」を創刊。高知県歌人連盟会長を6期つとめ、同名誉会長。少年時より歌作し、作歌生活50年。香北町には、歌人吉井勇がかつて苦悩を癒すために隠棲した猪野々の渓鬼荘がある。平成7年、叙勲、勲四等瑞宝章、正五位。平成12年2月13日没す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ted
5
'00年10月刊。△山下と多少縁のある地元の高校教師がライフワークとして40年以上前に書いた素人の評伝を、読むに堪える形に月刊『丸』編集者が苦心惨憺して編集した労作。原作者の死去('00年)によりフィリピン戦以降の最も重要な部分が未完で尻切れトンボ。親族(特に義妹の勝子)や元部下など、縁のある人びとが存命中に丹念な聴き取りをしているのが貴重で信憑性が高い。私的な側面にもかなり踏み込んでいて、山下の人となりが立体的に浮かび上ってくる。本書を最後まで読んだ後に山下の辞世の句を読むとその本当の意味が分かる。2020/08/02
ともくん
3
山下大将といえば、大将らしくデンと構えて細かいことは気にしないイメージでした。しかし細かいところに気を使うタイプで、繊細かつ大胆な方だったようです。今まで読んできたどの本でも「この方にお仕えたい」とか書かれていることから、人としての徳の高さが伺えます。2013/11/05