内容説明
二万一〇〇〇名におよぶ日本軍守備隊のうち、生還者わずか一三〇四名―米軍の熾烈なる攻撃の下、地獄の戦場と化して玉砕を余儀なくされたグアム島の戦いとはどんなものだったのか。ジャングルを彷徨し、極限状況におかれても人間性を失わず、誇りを持って生き抜いた軍医が非情なる戦場の実態をえがく感動作。
目次
第1章 崎戸丸海没
第2章 関東軍のグアム転進
第3章 戦火、サイパンからグアムへ
第4章 珊瑚礁の死闘
第5章 飢渇地獄
第6章 緑の迷路
第7章 投降
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
49
グアム島で戦った(奈良県・歩兵第38連隊所属)軍医中尉の記録。戦闘の経過やジャングルにおける生活模様を知ることができる。著者は人間関係にコネがあったため、何とか生き残ることができた。苦難が訪れた際に読むとかなり心の支えになるだろう。また、島民と日本軍が敵対していた事や民間の邦人との諍い、慰安婦などの戦後責任に絡む事項も登場するので、グアム旅行の前に読むのも良い。読みやすい文体ゆえお勧めできる。『兵たちの戦争』にも引用されていたのでそちらを読んだ方にも良いだろう。2022/09/21
スー
20
104筆者は歩兵第38連隊所属の軍医で新婚ホヤホヤの状態で妻を残し関東軍の南方進出によりグアムに派遣され米軍との激戦を体験しジャングルに逃げ込み飢えながら仲間達と協力してサバイバルしいかだを作り脱出しようとしたりしながら生き延び最終的には投降して無事に帰国した。道中に出会った日本の民間人達に米軍への投降を呼びかけたり負傷した慰安婦にも投降するように説得したが聞き入れられず薬による安楽死、歩けない兵を置き去りにするや願いを聞き射殺した仲間の話、日本軍同士で武器や食料をめぐる殺す等の恐ろしい話が印象に残った2022/11/18
逍遥遊
2
この本に登場する伊藤孝夫は私の伯祖父です。妻子のアルバムを見ているシーンがありますが、和子夫人と公夫(従伯父)さんの写真です。 伯祖父がこの本に書かれているような戦死をした後、和子は孝夫の末弟である雅夫(叔祖父)と再婚し、秀子(従叔母)が産まれました。 名古屋大学医学部を出た外科医なので、著者と同じように戦争に志願していれば将校として優遇されていたと思いますが、反戦への抵抗として志願することを拒んだ我が伯祖父を誇りに思います。2014/03/21