内容説明
日本の航空技術の担い手として、幾多の傑作機と高性能エンジンを開発、三菱と並び称される一大航空機メーカー『ナカジマ』―大戦末期、空襲下に苦闘した若きエンジニアたちの真摯なる姿を描く感動のノンフィクション。昭和十二年の入社以来、中島飛行機の最前線で活躍した技術者が綴る戦時増産下の航空産業。
目次
第1章 憧れの中島飛行機へ
第2章 エンジンテスト
第3章 陸軍造兵廠
第4章 増産への奮戦
第5章 「中島知久平」物語
第6章 壊滅した武蔵製作所
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mosu107
1
シンプルでテンポ良く筆者の人生、主に中島飛行機時代を振り返る。技術的部分は少なめで会社で何があったかという話題が多い。筆者の視点を通してその時代の人が会社、社会でどう生きたかが見えてくるところが面白い。目的を遂行するための存在である組織も確かに自分の意識を持った人の集まりであると感じさせるエピソードが豊富。2015/10/22
はるとも
0
エンジン設計の記述は専門外なのでよくわからなかった(!)けど、著者の半生はなかなか興味深く、面白い。この人は要所要所ですごく運に恵まれているなぁと思ったし、関係ないけど戦時中でもふつうにホテルでゴルフできるのねとか・・当時の様子が見れて良かった。2015/12/01
ミュンヘン
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今日、戦中の一大飛行機メーカーだった中島飛行機の航空技師さんの本『中島飛行機物語』を読んだ。青春を飛行機製造にささげた方の本だが、戦争の記述でいつの時代も為政者はろくなもんじゃないことが改めてわかった…。そして、最後の最後にある記述がかなり衝撃的だった。 「正直言って、五十年前を思い出すと、懐かしさよりもむしろ言いようのない戦慄を未だに覚える。果たしてあれはいったい何であったのだろうか。悪夢というには余りにも犠牲は大きかった。航空発動機造りに賭けた私の青春が無駄な日々であったとは決して思いたくない。」2011/10/20