内容説明
ビルマの戦野に朽ち果てた十九万将兵に捧げられた地獄の戦場報告―食なく、弾なく、飢えと病に呻吟しながらも、人知の限りを尽くして戦い続けた日本兵。重装甲の敵戦車に対し、近接側面砲撃で七両を撃破した機動砲小隊長が、自らの苦闘を描きつつ、屍を“白骨街道”にさらした将兵の無念の思いを記す鎮魂の記。
目次
序章 奈落の底への序曲
第1章 最前線へ赴く
第2章 兵たちの悲しき願望
第3章 英軍から贈られた栄誉
第4章 戦友の屍を乗り越えて
第5章 地獄の戦場に生きる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
35
最近ビルマを舞台にした古処誠二の小説を読んでいるので再読。野戦病院に行くも、戦傷死する将兵が多い。マラリアになりつつも英軍相手に一戦交える百合(緩詰)中尉率いる機動砲小隊は戦果を大いに上げていた。だが、戦局は変わりなく、“一将功成りて万骨枯る”状態となった。インパール作戦後の白骨街道も歩いているが、死屍累々である。餅なしの汁粉、英軍の「チャーチル給与」(レーション)ムササビのすき焼き(芋蔓とムササビ肉と塩だけ・・・)に舌鼓を打つ所は微笑ましい。が、兵站がしっかりしていない証拠でもある。2021/02/03
nnpusnsn1945
4
敦賀歩兵第119連隊の機動砲小隊長に属した著者の壮絶な戦記。ビルマで英軍の戦車を相手に善戦するも、無茶な上層部に翻弄される者の悲哀も描いている。一方で、隊員同士の食事などほっこりする場面もある。ちなみに、NHKの戦争証言アーカイブスに、119連隊を取り上げた番組もあるので、合わせて見るとよりおもしろい。本に登場した連隊長の副官も証言している。 また、滝沢聖峰氏も『神々の糧』で一部を漫画化しているので、そちらも参照すると、状況が分かり易い。2020/09/14